自分だけの「羅針盤」を持つ勇気
「疑う勇気」は、言い換えれば「自分の頭で考える力」です。では、どうすればその力を養えるのでしょうか。
第一歩は、自分なりの投資の「羅針盤」、つまり投資判断の基準を持つことです。
例えば、「自分は今後成長が期待できるIT分野の企業に投資したい」「安定した配当で着実にお金を育てたい」「環境問題に取り組む企業に未来を感じる」など、どんな基準でも構いません。
自分だけの羅針盤があれば、世の中の無数の情報に振り回されることなく、冷静に投資先を選ぶことができます。
新NISAの「成長投資枠」で個別株に挑戦するなら、こうした自分なりの視点を持つことが、大きな武器になるはずです。
少額から始める「学びのサイクル」
もちろん、最初から完璧な羅針盤は作れません。そこで重要になるのが、少額から始めて経験を積むことです。いきなり大きな金額を投じるのは、羅針盤も海図も持たずに嵐の海へ漕ぎ出すようなものです。
まずは、月々数千円、数万円といった無理のない範囲で、新NISAの「つみたて投資枠」などを活用して投資信託を買ってみる。そして、なぜその投資信託が値上がりしたのか、あるいは値下がりしたのかを自分なりに分析してみるのです。経済ニュースと結びつけて考えてみるのも良いでしょう。
「円安が進んだから、輸出企業の割合が多いこの投信は上がったんだな」「金利が上がったから、ハイテク株が売られて下がったのかもしれない」
このように、「投資→分析→学習」というサイクルを回していくことで、知識は血肉となり、自分だけの羅針盤はより精度を増していきます。
失敗はつきものですが、少額であればそのダメージは限定的です。むしろ、その失敗こそが、将来の大きな成功につながる貴重な「学び」となるのです。
「経済の体温」を肌で感じる習慣を
投資は、社会や経済と密接に繋がっています。日々のニュースで報じられる企業の業績、新しい技術、為替や金利の動き。これら一つひとつが、株価を動かす要因となり得ます。
難しく考える必要はありません。まずは自分が普段使っている商品やサービスを提供している会社に興味を持つことから始めてみましょう。
「最近、このお店が流行っているな」「この新製品はすごいな」と感じたら、その会社の株価を調べてみる。そうした日常の気づきが、有望な投資先を見つけるヒントになります。
経済を自分事として捉え、その「体温」を肌で感じる習慣をつけること。それこそが、情報に踊らされず、変化に柔軟に対応できる強い投資家への道なのです。
新NISAという追い風を最大限に活かすためにも、ぜひ今日から実践してみてください。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。












