アメリカや旧ソ連など大国の対外工作活動を見れば明らかだが、敵国の力を弱めるということで最も効果的なのは「内紛を仕掛ける」ということだ。

 ストレートに言えば、反政府運動や革命組織などに武器や資金を与えて、国民同士を対立させる。互いに潰し合っているのを、高みの見物をしていればいい。あとは生き残った政治勢力をサポートするか、もっと煽って暴走をさせるか。いずれにせよ、自分たちの手を汚さずに、国力を低下させるには最も賢いやり方だ。

 実際、旧ソ連のコミンテルンも日本の陸軍内部に働きかけて、対中戦争を煽っていたという「説」もある。

 そう考えると今の日本も怪しい。「反省」などこれまでの首相も当たり前に使っていたワードを、いきなり左派メディアが大騒ぎ始めた。右翼的な人々が怒りに震えて、反政府感情も高まっている。石破首相に心の底から消えてほしいという「愛国者」もたくさんいるはずだ。

 80年前からナショナリズムを過度に煽られた時の日本人は危ない。

「この売国奴め!」「そっちこそデマに踊らされた排外主義者だろ」なんて罵り合っていると、自分こそが「真の愛国者」になっているようで気持ちがいい。

 しかし、今は日本人同士でもめている場合なのか。日本国内の世論が分断されることで「漁夫の利」を得るのは一体誰なのか、ちょっと立ち止まって冷静に考えてみてはいかがだろうか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

そりゃ中国と韓国が喜ぶわ…「戦争の反省」発言で石破首相にブチギレる人が気づいていない《慰安婦問題》との相似