
「失礼のないビジネスメール」と「ビジネスにつながるメール」はまったく違う。仕事を広げていくには、「伝わる」より「届く」を意識した文面が必要だ。PRの現場で成果を出し続ける著者が、ビジネスパーソンにとっての「メールの正解」を明かす。※本稿は、黒田 剛『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
ビジネスメールを送っていては
新規の仕事が生まれない
僕は、メールを送るのが本当に嫌いだった。それは子どもの頃から、文章を書くのが苦手だったからだ。
講談社で働き始めると、周りは“言葉のスペシャリスト”だらけだった。文章に自信がないため、じつは最初、メディアに提案するメールを送るときも、自分のメールを各書籍の担当編集者に添削してもらっていた。
自分の文章を見られるのが恥ずかしくて、本当にイヤだったけれど背に腹はかえられない。たくさん直してもらってから、ようやくその文面をメールしていた。けれど、なかなかメディアからの返信というのは来ないものだ。
ある日、いつものようにメールを見てもらおうとしたところ、担当編集者が会社にいなかった。でも、一刻も早くメールを送らなければならなかった僕は、「もう仕方ない!」と開き直って、自分なりに無我夢中でメールを書いて送った。
すると、大きなテレビ番組がいきなり決まったのだ。
そのときに気づいた。「あれ?もしかしたら“用語として正しい文章”と“相手に伝わる文章”は違うんじゃないか?」と。
思えば、編集者に見てもらっていたときは遠慮もあって、自分の考えは書かずに、情報の羅列になっていた。