『やさしいライオン』が“ミニコーナー”化!?嵩(北村匠海)が朗読した“やなせたかし最初の絵本”【あんぱん第110回】『あんぱん』第110回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第110回(2025年8月29日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

今日は母の回 のぶの母、嵩のふたりの母

 突風のようにやって来て毒舌を撒き散らして「ほいたらね」と去っていった佳保(永瀬ゆずな)の影響は大きかった。

 住居がおんぼろと見下された嵩(北村匠海)は「引っ越しを検討しております」とがぜん奮い立つ。第110回の冒頭は昭和42年(1967年)5月。引っ越しが実現した。

 場所は一軒家――ではなくマンション。

 嵩のモデル・やなせたかしが、史実では目黒のアパート暮らしから荒木町の一軒家を建てたという話は飛ばしてなぜいきなりマンションなのか。この頃(昭和40年代)は一戸建ての大家族暮らしからマンションなどの核家族に変化していたという意味合いか。

 先日、再放送されていたやなせたかしのドキュメンタリーでは、80代のやなせはマンションの一棟のなかにプライベートから仕事場まで何部屋も借りていた。各部屋のドアにアンパンマンのキャラが貼ってある工夫がしてあり、バイキンマンの絵のついた「夜の部屋」と呼ばれている部屋はオーディオルームだった。アンパンマンの印税による優雅な生活。ドラマは早くもそっちのイメージを優先したのだろうか。

 マンションには仕事場はもちろん、のぶ(今田美桜)の茶室もあった。

 のぶは髪をおろして、さらさらヘアに。なんだか若返った印象。

 広くなった住居に羽多子(江口のりこ)が同居することになる。ようやく御免与町からお母さんが東京に。やっぱり長女ののぶがお母さんの世話をするのは当然であろう。

 そうなると嵩の育ての親・千代子(戸田菜穂)が気になる。あの大きなお家でひとり暮らしているのだろうか。そんな懸念がこの日、解決した。それについては後述するが、第110回は母の回である。