ただ「協力してほしい」とお願いするのではなく、世代を超えて自然に関係性が生まれるようなコンセプトを持った場を用意すること。それが結果として、プロジェクトに賛同してくれる人たちにとっても魅力的な参加する理由となったのです。

 そして、そうした想いで集まった人たちが中心となったからこそ、分野や立場を超えて「未来に何を残したいか」を本音で語り合える場が生まれたのです。

相手の“光”に気づいて
きちんと言葉にすること!

 人との関係を深めるうえで、カーネギーが大切にした原則が、「素直な感謝を伝え、誠実に褒める」ことです。

 褒めるといっても、上辺だけのお世辞やご機嫌取りでは意味がありません。

 カーネギーが説くのは、相手の努力や美点を見つけ、心からの敬意を持って言葉にすることです。カーネギーは、人にとって「自己の重要感」を満たすことは、食欲や睡眠欲と同じくらい大切で、それでいてなかなか満たされることのない欲望だと述べています。

 私たちはつい、相手のいいところや共感できる部分については、「あえて言わなくても伝わるだろう」と思ってしまいがちです。一方で、意見の違いや直してほしい点など、自分が伝えたいことばかりを口にしてしまう傾向があるように思います。

 それによって、せっかくの関係にしこりが残ってしまったり、議論が思わぬ方向にこじれてしまったりした経験がある人も、少なくないのではないでしょうか。

 たとえ志を同じくしていたとしても、私たちはそれぞれ異なる背景や価値観を持つ存在です。ましてや、これから関係性を築いていく初期段階であれば、違いや相容れない部分に目を向けるなんてナンセンス。なぜならば、違いがあって当然だからです。

 もし10%でも20%でも共鳴できる部分があるなら、そこに光を当て、それをちゃんと言葉にする。すてきなところ、評価しているところも、惜しまず心からの賛辞を贈る。

 たったひと言の共感や敬意が、相手の心を開き、関係を次のステップへと進めてくれる鍵になります。