
近年の中学入試は、知識を積み重ねれば合格できる時代から大きく変わりつつある。麻布や慶應普通部、聖光、渋渋、渋幕といった難関校だけでなく、鴎友や本郷、明大明治などの人気校でもその傾向は鮮明だ。膨大な文章量や社会的関心を前提とする出題に、保護者の戸惑いは大きい。では、子どもたちにどのような力を育てていけばよいのか――幼少期からの備え方も含め、そのヒントを探る連載第21回。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)
マニアックな知識は問わないが
精神年齢の高さや社会的関心を求める出題が増加
お子さんが、4年生、5年生くらいの時期に、初めて中学入試の過去問に目を通してみて、自分の子が6年生になって本当にこんなに難しい問題が解けるのだろうかと思われた保護者の方は少なくないでしょう。実際近年の中学入試問題は、非常に“成熟化”してきたと感じています。
近年では、保護者の教育リテラシーが高まり、多くの情報が簡単に入手できるようになりました。さまざまな教育情報の提供も充実し、塾のサービスも格段に向上しています。従来の集団指導の塾だけでなく、個別指導塾やオンライン塾、特定の科目に特化したサブ塾なども数多く登場し、質の高いものが増えてきました。
こうした環境の変化に伴い、各学校の入試問題も一層質が高くなっていると言えるでしょう。しかし、その高度化が子どもたちにとっては対応が難しいレベルになってきているという側面もあります。
知識的にマニアックなものを問うような出題は少なくなってきているものの、精神年齢の高さが求められる問題や膨大な文章量、社会的関心を前提とする出題などが非常に増えてきています。
このように重層的に難しくなった問題に対して対策はあるのでしょうか。今回は中学入試問題の難化とその対策についてお話ししたいと思います。