要は18歳になり、児童の年齢を超えたとしても、養護施設や里親の元で暮らせるようにしたということ。18歳も19歳も、まだまだ子供として、行政に保護される対象にしたわけだ。

 平たくいえば、ケア対象の引き上げ拡大だ。

 ついでながら、最近よく耳にするようになった、家族の介護や世話に追われる若者「ヤングケアラー」についても、同様の動きがあった。それまで国が支援するヤングケアラーの対象は、18歳未満と位置づけるのが主流だった。それを国は、おおむね30代まで、と大幅に引き上げたのだ(子ども・若者育成支援推進法)。

18歳も19歳も保護対象の児童なのに
少年法では厳罰化の対象にされてしまう

 さて、それとは対照的なのが、18歳、19歳は大人に近いとして厳罰化の方向に舵を切った少年法だ。

 児童福祉法の改正やヤングケアラーの支援対象拡大など、かたや国の手厚いケアがあり、かたや少年事件では、少年への国の保護的なケアが希薄化している――。そのちぐはぐさを、私たちはどのようにとらえればいいのか。

 たとえば、こんな少年事件があったとき、それはどう判断されるべきなのだろう。

・シングルマザーで病弱な母親の介護に疲れ、18歳の息子が母親の首を絞めて殺した

・親の虐待を理由に児童養護施設に入所した19歳の少女が、施設職員に叱責され、腹いせに男友達と一緒に強盗事件をおこした

 ヤングケアラーの少年が、衝動的に親を殺めてしまう。あるいは親の体罰から逃れるために施設にいた少女が、職員に追い詰められ、窮鼠猫をかむがごとくに強盗事件をおこしてしまう。じっさい、貧困や虐待、過剰な負担に追い込まれるようにして発生した少年事件は多々ある。俯瞰してみれば、加害者の少年少女は社会のひずみによって生まれた被害者ともとらえられる。

 もちろん、そうした事件に対する心証は、人それぞれ違うだろう。ただ、むず痒いのは、そうした少年や少女にたいして、法律ごとに考え方にバラつきがあることだ。