「考えすぎなくなった」「ストレスが減った」「先延ばし癖を克服した」
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも1万3000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。
本記事では、ライターの照宮遼子氏に、「本番で緊張に飲まれる人がやりがちな行動」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

大事な場面ほど不安が膨らむ理由
ライターになってすぐの頃、芸能人の対談取材で仕切り役を任されたことがあった。
当時は取材経験はまだ数えるほど。会場に入った瞬間から心臓がやたらとうるさく鳴っていた。
部屋の壁は真っ白、ライトはまぶしい。
何人ものスタッフの視線が一斉にこちらに向けられ、ただその場に立つだけで緊張に押しつぶされそうになった。
2人の会話は盛り上がるけれど、私が用意した質問リストからはどんどん離れていく。
どうにか質問を挟みながらも、頭の中は不安でいっぱいになっていった。
あの瞬間ほど「緊張に飲み込まれる感覚」を味わったことはない。
日常に潜むパニックの種
強烈なプレッシャーで頭が真っ白になる瞬間は、特別な舞台だけのものではない。
会議で「どう思う?」と突然話を振られ、準備していたはずの言葉が一瞬で飛んでしまう。
あるいは、上司への報告もそうだ。
たった数分で済む話なのに、「今は忙しいかも」と先のばしにしているうちに、声をかけるタイミングを失っていく。
プレゼン本番では、練習では出てこなかった不安が一気に押し寄せ、手のひらに汗がにじむ。焦れば焦るほど呼吸は浅くなり、「うまく話せなかったらどうしよう」とパニックの渦に飲み込まれていく。
そんなとき、頭の中で暴走しているのは「もし失敗したら」という想像だ。
現実の失敗より、まだ起きていない最悪のシナリオに心が支配されてしまう。
だからこそ、不安のスパイラルを止める具体的な方法が必要になる。
緊張をほどくカギは「五感」にあった!
著者のニック・トレントンは本書でこう述べている。
――『STOP OVERTHINKING』(P.95)より
本書で紹介されているのが、「54321法」と呼ばれるテクニック。
やってみると意外と単純だが驚くほど効く。
順番をきっちり守る必要はない。
「次は聴覚? 触覚?」と迷うより、窓の外やコーヒーの香りに意識を向ければいい。
「今、この瞬間」に戻る力
なぜ、五感に意識を向けるだけで落ち着けるのか。
その理由はシンプルだ。
考えすぎにとらわれているとき、人の心は「今」からどんどん遠ざかってしまう。
昨日の失敗をくよくよ思い出したり、まだきてもいない未来の「もしも」におびえたり。実際には何も起きていないのに、頭の中だけが不安でいっぱいになってしまうのだ。
そんなときに大切なのは、意識を少しだけ現在に戻すこと。
手のひらの温度や足元の床の硬さ、外から聞こえてくる物音。体と感覚は、ちゃんとここに存在している。
そのことに気づくだけで、心はすっと落ち着きを取り戻す。
「54321法」は、そのための具体的なスイッチだ。
未来や過去に引っ張られていた意識を、「今、この瞬間」に戻す。
緊張や不安の正体が「心がさまよっていること」だとすれば、五感を通じて「今、この瞬間」に戻ることこそ、思考の暴走を鎮めるベストな方法なのだ。
不安で頭が「真っ白」に
なったときの処方箋
面接やプレゼンのように、人前に立った途端、「言葉が出なくなった」という経験がある人は少なくない。
当時の私は「質問を外したらどうしよう」「記事が思うように書けなかったらどうしよう」と、頭の中で不安ばかりを大きくしていた。
気づけば会話よりも、失敗するイメージに心を支配されていたのだ。
けれど実際には、ライトのまぶしさや椅子の硬さ、手にしたペンの感触――そんな目の前の感覚に意識を戻すだけで、心には余裕が生まれたはずだ。
ほんの数秒の切り替えがあるかどうかで、次の言葉を取り戻す力は大きく変わる。
小さな工夫ひとつで、不安にのまれるか、立て直せるかの分かれ道になるのだ。
緊張にのまれない自分になる!
緊張は悪者ではない。緊張をなくそうとすればするほど、かえって不安はふくらんでいく。
けれど大切なのは、緊張を消すことではなく「立て直せる」と知っていることだ。それだけで心はずいぶんラクになる。
五感に意識を向ける「54321法」のように、思い出した瞬間からできる切り替えがある。
特別な準備はいらない。
ほんの数秒、目に入るものを数えるだけで、落ち着きを取り戻し、「大丈夫かも」と思える余裕が生まれる。
緊張は誰にでも訪れる。
今、プレッシャーに押しつぶされそうな人がいたら、目の前の小さな景色に意識を向けてみてほしい。
飲み込まれない方法を1つ知っているだけで、その瞬間の景色は違って見えてくるのだ。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)