
アイスクリームのトップチェーン、B-R サーティワン アイスクリーム(以下サーティワン)が、3年連続で過去最高売り上げを更新しました。アイスクリームと言えばスーパーやコンビニで買う機会が多いものですが、同社のアイスは売り場には並びません。サーティワンは店舗販売が中心です。なぜ「わざわざ買いに行くアイス」がこれほど支持されるのか。アイスクリームチェーンとして独走する同社の成功の秘訣に迫ります。(グロービスファカルティ本部 開発基盤チームマネージャ/グロービス講師 松村真美子)
気温の上昇とともに
拡大を続けるアイスクリーム市場
9月になっても暑さは衰えません。毎年のように観測史上1位を記録する猛暑。平均気温の上昇に呼応するように、アイスクリーム市場の拡大が止まりません。
一般社団法人日本アイスクリーム協会によると、国内のアイスクリーム市場規模は、5年連続で過去最高を更新し、2024年度は6451億円となりました(メーカー出荷ベース)。

東芝データが約250万人のレシートデータを基に集計した「アイス売れ筋ランキング」によると、日本で最も売れているアイスは、森永製菓の「チョコモナカジャンボ」です。続いて、2位江崎グリコ「ジャイアントコーン アソート」、3位明治「明治 エッセル スーパーカップ 超バニラ」と、いずれもスーパーやコンビニでよく目にする定番商品が並びます。
他にも、ロッテ、赤城乳業、森永乳業など、アイスクリームの売り上げ金額が200億円を超える企業は、アイスクリーム専門店ではなく、ほとんどが大手食品メーカーです。

このように、スーパーやコンビニ流通商品が大半を占める中で、サーティワンは全国に1049店舗(2025年6月期末時点)を展開し、アイスクリーム専門チェーンでは200億円を超える唯一の企業となっています。
なぜ、サーティワンだけがこのような成果を上げることができるのでしょうか。