考えすぎ”から解放された
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも1万3000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本稿では「考えすぎ」から解放される5つの習慣を紹介している。今回はライターの照宮遼子氏に「第2の習慣(時間を管理する)」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「やせたら海に行こう」と思う人ほど、絶対にやせられない理由とは?【目標設定がヘタな人の共通点】Photo: Adobe Stock

「考えすぎ」から解放される5つの習慣

 本書では、下記の「5つの習慣」を紹介している。

 この習慣を身につけることで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」から解放されるだろう。

1 ストレスを管理する(第1の習慣)
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)

 今回は「第2の習慣」を一緒に考えてみたい。

 海外旅行に行くたびに「英語を勉強しよう」と思う。
 出発前は勢いよくオンライン英会話に申し込んだり、テキストを開いたりする。

 現地で言葉につまずけば「もっとやらなきゃ」と焦る。
 けれど、帰国してしまうと英語を使う場面はほとんどなくなり、「次の旅行でいいか」と机の上に教材を積んだままになる。

 この繰り返しは、まるで「やせたら海に行こう」と言いながら、一生海に行けない人のようだ。

 そうして、結局、「英語を話せるようになりたい」という目標だけが頭の中にずっと残り続けてしまう。

 気持ちは十分あっても、「英語を話したい」というだけでは目標としてはぼんやりしている。

 脳はあいまいな指令に弱いので、「どこまで」「いつまでに」「何を」やるのかが見えていないと、スイッチはなかなか入らない。
 気づけば一日が過ぎ、「またできなかった」と自分を責めてしまう。

 不安になるのは「できなかったから」ではない。
 何をすれば「できたこと」になるのかがはっきりしていないから、頭の中で「やらなきゃ」が渋滞してしまうのだ。

 そうして先のばしが癖になり、不安ばかりが大きくふくらんでいく。

「いつまでにそうなりたいのか」を決める

 本書『STOP OVERTHINKING』の中で、著者のニック・トレントンはこう言っている。

明確な計画があれば、成功確率は高くなる。目標を書き出すなんて退屈で面倒くさいと思うだろう。でも一度だけ試してみてほしい。いざ言葉にしてみると、いかに自分のビジョンがあいまいだったかわかるはずだ。
――『STOP OVERTHINKING』(P.129)より

 私は長い間、「英語を話せるようになりたい」と言い続けてきた。
 けれど、いざ紙に書き出してみると、それがどれほどあいまいな願望だったかに気づかされた。

「どのくらい話せるようになりたいのか」「いつまでにそうなりたいのか」
 ――そんな大事な部分を、自分で全く決めていなかったのだ。

 たとえば、「旅行先のカフェで注文できるようになりたい」のか、それとも「仕事でプレゼンができるレベル」まで求めているのか。

 そこがはっきりしないまま「英語を勉強する」とだけ繰り返していたから、なかなか行動に移せず、結果が出なかったのだ。

 目標は、頭の中で思うだけでは実体を持たないが、書き出すことで「目指す地点とそこまでの道のり」が具体的に見えてくる。

 ほんの一行でも書くというシンプルな行為が、ぼんやりした夢を現実に近づける最初の一歩になる。

「やりたいこと」が「やれること」に変わる「5つの視点」とは?

 では、どうすればあいまいさを取り除けるのか。
 ここで重宝するのが、本書の「第2の習慣」で紹介されている、「SMART」という考え方だ。

 Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Attainable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限つき)の頭文字を取ったもので、目標を行動レベルに落とし込む枠組みである。

「英語を勉強する」と決めただけでは一歩も進まなかった。
 けれど「SMART」に当てはめてみると、やることが一気に具体的になる。

 たとえば、「自分の気持ちをきちんと伝えられるようになりたい」と思ったとする。

 そのために週2回、オンライン英会話で練習を重ねる。
 1日1時間勉強するのは大変でも、短い英語の動画を1本見るくらいなら無理なく続けられる。

 3ヵ月後の旅行を期限にすれば、目標はぐっと現実味を帯びてくる。

 ここまで言葉にして初めて、「やりたいこと」が「やれること」に変わる。
 目標の形が見えるだけで、今日からの行動は自然と明らかになるのだ。

 資格試験や昇進試験に向け、手帳に「勉強」と書き込んだのに、何度ページを開いても結局進まなかった。

 そんな経験をした人も少なくないはずだ。

 決してやる気がなかったわけではない。
 ただ行き先があいまいなままでは、最初の一歩が踏み出せない。
 机に向かっても勉強は進まず、「またできなかった」という重さだけが残ってしまう。

 そしてその重さが、次の行動をさらに遠ざけてしまうのだ。

目標は「小さく分ける」

 だからこそ、目標は切り分ける必要がある。
 大きなプレッシャーも、小さな計画に落とし込むだけで「今日やること」に変わる。
 1つできれば達成感が積み重なり、「次もやってみよう」という気持ちが自然と生まれる。

 シンプルな工夫なのに、気持ちは驚くほど軽くなり、小さな積み重ねが、毎日の景色を少しずつ変えていく。

「一歩なら踏み出せる」と思えたときから、時間とのつき合い方は変わり始める。
 その小さな変化が、やがて大きな自信へとつながっていくのだ。

 自信が少し出てくるだけで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」は劇的に減る

 本書は考えすぎから解放される大きなトリガーとなるだろう。ぜひ試してみてほしい。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)