「“考えすぎ”から解放された」
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも1万3000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本連載では「考えすぎ」から解放される5つの習慣を紹介している。今回はライターの照宮遼子氏に「第2の習慣(時間を管理する)の落とし穴」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「考えすぎ」から解放される5つの習慣
本書では、下記の「5つの習慣」を紹介している。
この習慣を身につけることで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」から解放されるだろう。
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)
今回は「第2の習慣」を一緒に考えてみたい。
在宅勤務が増えてからというもの、朝の10分が、気づけば指の間からこぼれ落ちるように消えていく。
コーヒーを淹れながら、ついスマホを手に取り、タイムラインには友人の近況やニュース。「仕事に役立つかもしれない」と自分に言い訳しながら、ほんの一瞬のつもりがスクロールが止まらず、午前のリズムはあっというまに崩れていく。
失っているのは時間だけではない。
集中の糸がぷつんと切れ、やる気までもじわじわと削られていく。
そのことに気づいた瞬間、胸の奥に小さな罪悪感が残る。
脱線を防ごうと、SNSの「いいね」やキャンペーンの案内といった通知をすべてオフにした。
けれど、しばらくすると自分の投稿への反応が気になって、結局アプリを開いてしまう。
通知を切っても、心の中の「見たい」という欲は簡単には消えなかった。
遮断して時間をつくったつもりが、頭の片隅ではかえってざわつきが増している。結局のところ、問題は通知そのものではなく、意識の向け先をどう選ぶかにあるのだと思う。
「時間の使い方」が
不安をつくり出す
本書の著者ニック・トレントンはこう述べている。
――『STOP OVERTHINKING』(P.104)より
スマホに吸い込まれて午前を失った日のことを思い出した。
時間の使い方を「自分で決めていない」ことこそ、不安の温床になっていたのだと気づかされた。
課題の量を減らすことが目的ではない。
やることの優先順位をつけスケジュールに落とし込み、「自分で決めた」と思える感覚を持つことが大事だと説く。
予定に追われているのではなく、自分の意志で進めていると感じられるだけで、不安はぐっと小さくなるという。
迷いを減らすシンプルな方法
やることが曖昧なまま一日を過ごすと、頭の中では「やらなきゃ」が渋滞していく。
メールか、資料か、電話か……と迷っているうちに時間だけが過ぎ、自己嫌悪に陥る。
そんな迷いを減らす方法として、To Doリストを定期的につくり、優先順位を明確にし、目標を小さく分けることが勧められている。
シンプルだが、これが一番確実に不安を小さくする近道になる。
大切なのは、順番を人任せにせず「自分にとって何が重要か」を基準に決めることだ。
周囲の期待や目についた仕事に流されれば、本当にやりたいことはいつまでも後回しになる。
自分の価値観に沿って「これを先にやる」と決めれば、その瞬間から迷いは減り、心も落ち着いていく。
時間の主導権を取り戻す方法
本書では「インプット処理法」も紹介されている。
会議やメール、SNS、電話といった日々の刺激を「インプット」ととらえ、どう反応するかを、あらかじめルール化しておく方法だ。
「メールは夕方にまとめて処理」「SNSは昼休みにだけ」と基準を決めておけば、その場でいちいち迷わずに済む。
優先順位を決めることと合わせて、この仕組みさえあれば、時間の主導権をより確実に取り戻すことができる。
ストレスに強い人が
「休み方」もうまい理由
多くの人は責任感から自分の幸せを後回しにし、重たいタスクを片づけてからでないと休めないと思い込んでいる。
しかし実際には、その余裕が生まれる瞬間はほとんど訪れない。
朝から予定を詰め込みすぎず、あえて昼食後にコーヒーを飲みながら一息つく。
デスクから目を離して窓の外を見るだけでもいい。
そんな小さな習慣が、不安やストレスを和らげる大きな支えになる。
休みを削って残業を重ねても、結局、集中力が切れて効率が落ちた。
そんな経験は誰にでもあるはずだ。
だからこそ「休むこともタスク」としてあらかじめ時間を確保しておくことも大事なのだ。
笑いや楽しみの時間はおまけではなく、毎日の不安を小さくする一番の武器になる。
一流の時間管理と優先順位の決め方
気づけば時間に追われ、今日も「やることが終わらなかった」とため息をつく。
そんな日々は、そろそろ終わりにしてもいい。
仕事で成果を上げる一流の人は、休む時間をあらかじめ確保して、やるべきことの優先順位を決める。
ほんの少しの工夫で、一日の景色は驚くほど変わっていく。
大きな改革はいらない。
小さな積み重ねが、不安に振り回されず、考えすぎにとらわれない日常をつくっていく。
時間とのつき合い方をほんの少し見直すだけで、心に余白が戻り、毎日が軽くなる。
その感覚に気づくだけで、明日が少し違って見えてくるのだ。
第2の習慣(時間を管理する)を実践するだけも、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」は劇的に減ると思う。
本書は考えすぎから解放される大きなトリガーとなるだろう。ぜひ試してみてほしい。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)