「やってくれたな…」改革を信じた投資家が見た翌日の全株売却、企業をかき乱す“物言う株主”の正体写真はイメージです Photo:PIXTA

経営改革やガバナンス改善を掲げて登場し、ときに正義の味方と注目される“物言う株主”。だがその本当の目的は、株価を吊り上げて高値で売り抜けることだ。投資家の間で話題を呼んだダイドーリミテッドとストラテジックキャピタルの事例をモデルケースとして、彼らの動きを読み解く。※本稿は、鈴木賢一郎『株式投資の基本はアクティビストに学べ プロの投資に便乗する「コバンザメ投資」の始め方・儲け方』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

アクティビストの株主提案を
真に受けてはいけない

 アクティビスト(編集部注/物言う株主)は株主提案などを通じて、よく投資先に対して「経営改革が必要!」「コーポレート・ガバナンス改革だ!」などと主張することがあります。

 それを見て、「アクティビストはお金儲けだけではなく、市場改革や世直しもしている。正義の味方、個人投資家の味方だ」と捉える人がいるのですが、本当にそうでしょうか。

 アクティビストは何を求めて投資をし、なぜ上場会社に経営改革やコーポレート・ガバナンス改革を求めたり、株主提案をしたりするのでしょうか。

 ここで、アクティビストが行った株主提案の事例を見ながら、そのことを考えてみましょう。

 アパレルメーカーであるダイドーリミテッドの2024年6月株主総会とその直後において、ストラテジックキャピタルというアクティビストの行動がSNSやマスコミでも非常に話題になりました。

 ストラテジックキャピタルが取締役6名選任の株主提案を行ったのですが、株主総会に向けて日本経済新聞の全面広告を使って株主提案をアピールしたからです。