「お金は大切だけど、お金ばかり考えて一生を過ごしたくない」
物価上昇、株価変動など、お金の不安が尽きない時代。どうすれば、自由に豊かに生きられるのか? 娘のために「お金と投資」のアドバイスを綴った人気ブログを書籍化したのが『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ著)だ。投資歴50年を通じて「経済的自立=人生の選択肢を持つこと」と説く著者が、時代に左右されない投資戦略と人生哲学を紹介している。
作家の橘玲氏は「お金持ちになるには、シンプルな方法がひとつあるだけ。あなたはなぜ、それをしないのか?」と評し、『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルは「美しくシンプルな本だが、人生に深い影響を与える」とコメントを寄せている。約10年ぶりに改訂となるベストセラーの本書から、その内容の一部を特別公開する。

【半世紀を投資に費やしたプロが教える】どんなに失敗しても人生を救ってくれたマネー習慣・ベスト3Photo: Adobe Stock

投資に失敗しても必ず守ったこと

 2011年に仕事を辞めて経済的自立を確保したとき、過去に失敗した投資がまだ残っていました。

 現金が必要な引退生活に入ったので、これらを始末して現金化しました。

 その投資は、株式インデックスを上回る成績を上げられると思って、銘柄選択をしたものがほとんどです。

 それがどれほど難しいことかを受け入れるのは、とてつもなく時間がかかりました。そして、次の3つのことで、私は救われたのです。

 収入の50%を確実に貯蓄していたこと
 借金をしなかったこと(自動車でもローンを組んだことはありません)
 バンガードの創設者であり、インデックスファンドでの投資家であるジャック・ボーグルが、何十年も前に完成させたインデックス投資の教えをしっかり順守したこと

 振り返れば、たくさんの間違いを犯してきたことに驚きます。それでも、これら3つの指針が私たちの望みをかなえてくれました。

 私の経験を知れば、これまで間違いばかりで、人生を変えたいと願う人は元気が出ると思います。

「経済的自立」を叶えたあとの人生

 さて、今の私は引退して、とてもいい気分です。決まった時間に働かなくてよいことも楽です。

 明け方の4時まで起きて、その後、お昼まで寝ていてもいいし、4時半に起きて日の出を見ることもできます。家でぶらぶらしていたと思ったら、突然、何ヵ月間も遠くまで旅行に行っても問題ありません。

 気が向けばブログを更新し、また本を書くかもしれません。ベランダに座ってコーヒーを片手に読書三昧かもしれません。

 1つ残念なのは、どうやればうまくいくかを考えるのに時間をかけすぎました。その点は無駄でしたが、生まれつきの性質という面もあります。ここだけは私の真似をしないでください。

 年を重ねるにつれて、日々の時間が大変貴重に思えてきました。役に立つ人や活動を求めると同時に、価値をもたらさない人や活動からは遠ざかるようになりました。

 世の中には楽しいことがたくさんあります。お金はそのほんの一部にすぎません。

 しかし、「会社に縛られないお金」があれば、自由を得られます。ものや時間を手に入れて、好きなように使うことができます。

 引退しているかどうかに関係なく、自分の旅路を楽しむのです。

(本稿は、『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』を一部抜粋・編集したものです)

ジェイエル・コリンズ JL Collins

ファイナンシャル・ブロガー(ブログ「jlcollinsnh.com」主宰)
1975年から投資を行っている個人投資家。何度も転職する中で、収入の範囲内で生活するようになり、気がつけば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていた。実践したのはシンプルな投資だけ。収入の半分を投資、借金をしない、バンガード創業者ジャック・ボーグルの教えに従ってインデックスファンドに投資する。これだけで経済的自由を手に入れた。
2011年、娘宛てに「お金と投資」についての手紙をしたためる。その内容をブログに発表すると、世界中から注目されるようになる。