「数年来の悩み“考えすぎ”から解放された」
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。本連載では「考えすぎ」から解放される5つの習慣を紹介。今回はライターの照宮遼子氏に「第3の習慣:心と体を瞬時に落ち着かせるコツ」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「考えすぎ」から解放される5つの習慣
あなたはつい、「考えすぎ」てしまう傾向はないだろうか?
私はつい考えすぎてしまう。
本書では、下記の「5つの習慣」を紹介している。
この習慣を身につけることで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」から解放されるかもしれない。
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)
今回は「第3の習慣:心と体を瞬時に落ち着かせる」を一緒に考えてみたい。
「本番で力を出せない人」の特徴
まだ始まってもいないのに、気づいたら心がぐったりしていた──大事な予定を控えているときほど、そんな状態になりやすい。
「この条件は突っ込まれそうだな」
「値引の話になったらどう答えよう」
「競合の名前を出されたらどう切り返すか…」
次から次へと想定が浮かび、体は休んでいるのに心だけがすり減っていく。
当日を迎える前から疲れがたまってしまい、やりがいよりも「失敗できない」という思いが先に立つ。
その結果、肝心の本番に向けた力まで削られてしまうのだ。
もちろん、かくいう私も例外ではない。
数年前、出張準備をしていたとき、まさにその状態になった。
出張前夜、空港までの行き方はもちろん、空港で朝ごはんを食べるタイミングまできっちり決めていた。何時にどの店に入り、何を食べるかまで逆算して考えるという念の入れようだった。
そのせいで準備にやたらと時間を使ってしまい、睡眠時間を大幅に削ることになった。
いざ出発の朝を迎えたとき、まだ一日が始まってもいないのに疲労感がかなり大きかった。
今思えば「朝ごはんくらい、電車の中で調べれば十分だったな」と心底思う。
こうして心配に振り回されると、まだ起きてもいないことにエネルギーを吸い取られ、目の前の時間まで削ってしまうのだ。
「完璧を目指す人」は危ない
この経験をきっかけに、私は準備の仕方を変えた。
その後の海外旅行では、下調べは本当に必要なところだけに絞った。
スリ対策や大まかな観光、現地での移動手段など、安心して動くための基本だけを押さえ、食事など細かい予定は現地に着いてから決めることにしたのだ。
スケジュールを詰め込みすぎず、あえて余白を残す。
すると、不測の事態が起きても慌てずに対応でき、思いがけない出会いや現地人との会話も楽しめた。
予定を細かく決めていなかったからこそ、想定外の景色や出来事に心を動かされる場面にたくさん出会えた。
なにより「今、この瞬間」を味わえる時間が、格段に増えたのだ。
「先のばしできる人」が強いワケ
著者のニック・トレントンは本書でこう述べている。
――『STOP OVERTHINKING』(P.170)より
つまり、心配をきれいさっぱり消す必要はない。
ただ「いつ」「どのくらいの時間」それに向き合うのかを、自分で決めてしまえばいい。
そうすると、不安は際限なく広がらず、限られた時間の中で片づけられる予定の1つに変わっていく。
その感覚を実感したのが、旅行のときだった。
すべてを前もって決めるのではなく、基本の準備だけ済ませて残りは「後で考えよう」と割り切る。
だからこそ、旅行当日は寝不足でぐったりすることもなく、期待とワクワク感を抱えて出発できるようになったのだ。
「不安を先回りして消耗する人」への処方箋
これは旅行だけに限らない。
たとえば、大事なプレゼンでは、本番のシミュレーションや資料の確認はもちろん必要だ。
けれど、リスクや想定外の事態まで全部を事前につぶそうとすると、気づかないうちに時間もエネルギーも奪われてしまう。
そこで「この時間にまとめて考える」とあらかじめ決めてしまう。
そうすることで、今やるべきことに集中でき、余計な心配に引っ張られずに済むのだ。
もちろん、「心配の先のばし」は不安を魔法のように消してくれるわけではない。
けれど、「今は考えない」と言い聞かせるだけで、頭の中に余白が生まれる。
その余白があるからこそ、プレゼンに集中でき、自分のペースを保てる。
そして、その余裕こそが信頼感となり、結果を引き寄せてくれるのだ。
心配事が浮かんでも、「そのことを考えるのはこの30分だけ」と区切る。
そう決めるだけで、他の時間は堂々と心配から距離を置ける。
大切なのは、不安をゼロにしようと無理に抑え込むことではなく、心配するタイミングを自分で選ぶということ。
それだけで日常の重さが驚くほど軽くなるのだ。
もちろん、不安に対処する準備は必要だが、その準備を「今やるのか、後でやるのか」を選べるようになればいい。
不安は、後で考えればいい。
そのシンプルな習慣が、思考に余白を生み、今日の時間をぐっと軽くしてくれるのだ。
第3の習慣(心と体を瞬時に落ち着かせる)を実践するだけも、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」は劇的に減ると思う。
本書は考えすぎから解放される大きなトリガーとなる。ぜひ試してみてほしい。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)