「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.新しい習慣を始めても、なかなか続きません。
自分の生活の中に、これといって続けられているものがないのが悩みです。新しいことに手を出そうとするのですが、続かずに終わってしまいます。何か効果的な対処法はありますか?
驚異的な数のルーティンを続ける秘訣
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは、「なにか続けられることはないかな?」と思い立ったのが18年前くらいでしたかね。最初は3つのルーティンから始めました。
朝起きたらゲームをして、仕事をして、それからジョギングする。そんなシンプルな流れでした。
――今はどのくらいあるんですか?
井上氏 気づいたら朝だけで70個くらいですね。
正確には「朝ご飯を食べるまで」で一区切りにしているんですが、今日なんかはすべて終わったのが午後2時でした。なので、朝ご飯がもはや昼ご飯みたいになってしまう(笑)。
でも、その分午後はほとんど動かなくてもいいんです。
――70個のルーティン……? そんなに多い数をどうやったら続けられるんですか?
井上氏 全部「昨日と同じこと」を繰り返しているだけなんですよ。
デジャブする(別名「昨日をもう一度」)
井上氏 『とっぱらう』でいう「デジャヴする」という戦術と同じです。
毎日新しい自分になろうとしなくていい。
もし自分にとってとても大事なことが見つかったなら、毎日それに集中し続ければ、それは生活に根づき、育ち、いつか花を咲かせるだろう。
陳腐に聞こえるかもしれないが、本当にそうなのだ。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
井上氏 だから特別なことをしている感覚はないですね。
無理して新しいことを毎日探すというよりは、同じ習慣を積み重ねることが重要かもしれません。ぼくはゲームをすることが好きだったので、そのままルーティンにしてしまおうと決めたんです(笑)。
「習慣を始めよう」と意気込むのではなく、元々自分が無意識にやっていたことから習慣化していくのがいいと思います。「気づいたらうまくいっていた」という状況を生み出した方が、習慣は長く続きますね。
――むやみに新しいことに手を出そうとするのではなく、繰り返しを大事にする方が、習慣化の極意なのかもしれませんね!

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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