
「安さ」と「量」が魅力の業務スーパーの人気が勢いを増している。しかし、「お惣菜」狙いの客はまだあまりいないのではないだろうか。実は、一部店舗で展開する惣菜事業「馳走菜」にも注目が集まっている。何がすごいのか、解説しよう。(フードコンサルタント 池田恵里)
業務スーパーの「惣菜」がすごい!同業者もおびえる存在
近年、全国的にスーパーの出店競争が激化し、メディアでも各社の戦略や競合関係が盛んに取り上げられている。実態はもはやスーパー同士の競争にとどまらず、ドラッグストア、業務スーパーなど、業態の垣根を超えた競争時代に突入している。
ドラッグストアの食品への強化は著しく、販売商品全体における食品の構成比はすでに平均3割に達している。「近隣にドラッグストアが出店すると、売り上げへの影響は避けられない」といった声がスーパー関係者からも聞かれるようになってきた。
そんな中でも、特に無視できない存在として浮上しているのが、神戸物産が展開する「業務スーパー」である。
「安さ」と「量」が客を魅了していたが、近年力を入れているのが惣菜事業の「馳走菜」だ。業務スーパーの店舗内調理「馳走菜」の惣菜商品を見て、スーパー関係者は改めて、驚くことも多い。
「馳走菜」とは現在142店舗展開している神戸物産の惣菜業態である。この「馳走菜」を、立地によって業務スーパー内に巧みに組み込んでいるのだ。
鍵となるのが、調理方式だ。
業務スーパーは、「パーツアッセンブル形式」という、食材をあらかじめ「パーツ」として工場などで下処理・加工し、それらを店舗で組み合わせて最終的なメニューを完成させる調理方式を採用している。
店舗での作業を簡略化しながら、品揃えの柔軟性やコスト効率を高めることが可能となるのだ。