オリジナルのワーゲンバスと並べてみた
帰京した日の夜、バイク用カスタムシートで有名なK&Hの上山さんが所有するフォルクスワーゲン Type 2と、ID. Buzzを並べて写真を撮った。


その大きさの違いに二人して驚愕した。そして並べてみると、その“余りの似ていなさ”にも驚嘆した。そもそもの設計思想が違うのだろう。Type 2はRRで、人も荷も“前へ前へ”押し出すミニマムな合理性。一方のID. Buzzは、十分なクラッシャブルゾーンを確保し、乗員を“中央”に置く安全と快適の発想だ。
どちらも“人と荷物を運ぶ箱”ではあるのだが、時代が変わればソリューションも変わってくる。カラーリングで見た目は通じ合いつつも、内実はまるきりの別物だ。後輪駆動という血筋だけが薄く繋がっている……そんな印象だ。

高速走行は走りやすく、都内の狭い道も大きい割に取り回しやすい
苗場への上りでは、アクセルワークに対して車体が遅れない。中速コーナーで姿勢がビシッと決まり、出口で電気のひと押しを足すと、後輪駆動の気持ちよさが現れる。
一方で都内に入れば膨らみを抑えた前後のオーバーハングが効き、取り回しは見た目よりずっと素直である。着座位置の高さと窓の大きさで死角が少なく、歩道の段差や狭い路地でも、その巨体の割には神経を使わずに済む。
サスペンションは芯に柔らかさがあり、重さを支えるダンピングがきちんと入るタイプだ。これで7人乗車に重量物搭載となるとどうなるのだろう。
苗場で音に包まれ、新潟でハンコをつき、東京へ静かに帰る。トータル1000キロ超のロングドライブ。ID. Buzzは長距離移動のストレスをキッチリと受け止めてくれた。ノスタルジーの雰囲気を適度に残しつつ、中身は完全に最新の電気自動車だ。
それでは最後にID. Buzzの○と×を。