高速道路における身のこなしは実に上質で、90キロまでは“ほぼ無音”で加速していく。100キロを超えると屋根の方から聞こえる風切り音が気になるのだが、それもモーター音やロードノイズなど“他の音”がしっかりと抑え込まれているからだろう。防音防振に関してはほぼ完璧と言っていい。
関越を月夜野ICで降りて、三国トンネルへ向かうワインディングに入る。背の高いバンにありがちな“コーナー入り口でのふらつき、出口でのドタバタ”が出にくい。極端に長いホイールベースだが、ハンドルを切ればスッと素直に頭が入り、非常に気持ちがいい。フォルクスワーゲンがじっくりと時間を掛けて、このクルマを仕上げてきたのが良く分かる。
今回のフジロックの主目的は、もちろん当イベント初登場の山下達郎さん。途中で夫人の竹内まりやさんも登場し、会場はまさしく熱狂の渦であった。レッチリに名前の良く似たバンドに騙されてガッカリしたりもしたが(くわしくはこちら)、せっかくだからと聞いてみるとこれがまた意外と良かったりして。こうした新たなる発見もフジロックの良いところ。夜中まで飲んで騒いで何万人もの中でグーゼン大昔の彼女に邂逅したり、と愉快な時間を過ごしたのであった。

翌日は森山直太朗さんの歌を聞いた後すぐに湯沢ICから新潟へ向かい、前からカーセンサーで目をつけていた日産のNV 350を見に行った。宮崎の家にサーフィン用として置いてあるメルセデスのGクラスは何かと気を遣うので、“もっと気軽に扱えるクルマ”として増車を検討していたのだ。同じ年式、同じ走行距離の中古で、NV 350はハイエースよりも60万円は安い。

5分で商談を終え、ID.Buzzに乗って再び関越へ。自宅まで約350キロのロングラン。
静粛性が高く、長時間運転していても疲れにくい
静粛性は疲労軽減に直結すると実感した。ロードノイズの抑えが特に良い。背の高いバンの不利を、音・振動の調律で丁寧に消している印象だ。運転支援は“やりすぎない”チューニングで、やはり長時間運転の疲労軽減に効いている。減速時の回生は実に自然で、長い下り坂でのペースを整えやすい。
今回は荷物が少なかったので、そのありがたみを実感できなかったが、ID. Buzzの床はどフラットで、大荷物でもラクに出し入れができそうだ。

そうそう。あまりに多くの人が押し寄せるため、苗場周辺は午前8時以降極端に電波状況が悪くなる。急ぎの原稿が送れず、大慌てで道の駅みつまたの駐車場に向かい、後部座席で事務作業を行った。二列目の座面は“椅子にちゃんと座っている”感覚があり、パソコン作業が苦にならない。ドライバーが他にいるなら、後部座席で仕事をしながら快適に移動することもできるだろう。車内が移動式のリビングになり、ワークスペースにもなる。
