「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.映画を見ても本を読んでも、すぐ内容を忘れてしまいます。
映画を見たり、本を読んだりしても、内容をすぐに忘れてしまいます。本当は感想や考察をできるようになりたいのですが、特に思いつかず、自分の思考の浅さが心配になります。こんなとき、意識すべきことはありますか。
とりあえず書き出してみる
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは映画や本に触れたとき、まず自分のメモ帳に感想を書き込むようにしています。
これは「毎日、本の感想をX(旧ツイッター)に、映画の感想をブログに投稿する」と決めているからです。
投稿そのものは140文字程度ですが、そこに至るまでにセリフの引用やスクリーンショット、テキスト化したものなど、かなりのメモが積み上がっています。
――毎回そこまで細かく記録するのはすごいですね。やっていくうちになにか効果はありましたか?
井上氏 ぼくの場合、とにかく気になったところを全部メモしているだけです。
ただ、自分の考えを文章にするのはやはり負担があって、映画の感想をブログに書くのに1時間半かかることもあります。
でも「書かなきゃ」と身構えるのではなく、自然に「次はこれ」と流れるように書いている感覚ですね。
――あまり「特別なことを書こう」と思わないのが大事なんですね!
思いつかないなら「思いつかない」と書いてみる
井上氏 そうですね。感想が浮かばなければ「うまい言葉が思いつかないんだけど…」と書けばいいんです。
そうやって書き出すだけで、意外に自分の言葉が引っ張り出せるし、何でもいいから書いていくうちに思考もまとまってくると思います。
『とっぱらう』にも「書く」という戦術がありますよね。
いまさら言うまでもないが、計画を書き出すことには魔法のような力がある。書いたことは実現する可能性が高い。ハイライトのための時間をつくりたいなら、まずは書いてみるのがいい。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
――『とっぱらう』の戦術「書く」は、思考を外に出すことで心の負担を減らす方法ですね。そして井上さんの映画や読書の感想メモもまた、目的は違えど同じような効果があります。
井上氏 自分で書いたものは必ず自分に返ってくるので、まずは「書く」というのをやってみる価値はあると思います。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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