なぜマスクは暴落した? ソーセージ1本5000円と共通する価値の決まり方
Xフォロワー35万人、投資歴37年のベテラン専業投資家で、『賢明なる個人投資家への道』『貯金40万円が株式投資で4億円』(ともにダイヤモンド社)の著者・かぶ1000さんは、中学2年のころから体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、バブル紳士にはお金儲けのイロハを教えてもらった。中3で300万円、高1で1000万円、高2で1500万円へと株式資産を増やし、会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になり、2025年には累積利益8億円突破! アルバイト経験さえない根っからの専業投資家が、初心者以上マニア未満の投資家に「お金の増やし方」を徹底指南する。※本稿は、『賢明なる個人投資家への道』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

昨日の必需品、今日の安売り品
コロナ禍が示した「時」の価値
多くの人が「時期」で価値が変わることを実感したのは、コロナ禍での「マスク」でしょう。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃、世界的にマスクが不足し、日本のコンビニからもドラッグストアからも商品が消えました。
マスクの高値転売が非難を浴びて、政府は法律で禁止する措置をとったほどです。
一時は使い捨てマスクが1枚100円前後まで値上がりしましたが、品不足が解消すると一転して値崩れし、1枚10円以下まで値下げしても売れなくなりました。
非日常が生んだ異常な高値:被災地で聞いた5000円のソーセージ
1995年に発生した阪神・淡路大震災で、私は現地にボランティア活動をするために駆けつけたのですが、驚くような話を耳にしました。
とある小売店で、ソーセージを1本5000円で売っていたそうなのです。被災地では、まだ食料が不足している状態だったためか、1本5000円でも買う人がいると考えたのでしょう。
食料は、日本ではフードロスが問題視されるほど無駄に廃棄されていますが、天災などの危機的な状況が訪れると急速に不足して、異常な高値になることも十分考えられます。
時代が価値を創造する
天才画家ゴッホの死後に咲いた「ひまわり」
「トレンド」の変化で価値が変わる代表例は、絵画などの美術品です。現在では天才画家として高く評価されているフィンセント・ファン・ゴッホは、生前の評価は高くなく、生きている間には作品が数枚しか売れなかったそうです。
ゴッホは不遇のうちに、この世を去ったのですが、その後評価はうなぎ上り。残っている作品が少ないため、オークションで10億円を超える高値がつくことも珍しくありません。
日本のバブル期には、安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)が、ゴッホの『ひまわり』を当時の為替レートで、約53億円で購入して大きな話題となりました。当時の1枚の絵画の取引としては最高額だったのです。
目の前の才能、見抜けなかった未来の価値
私自身、こんな体験をしたことがあります。2004年に開催されたデザインフェスタで、ダンボールにユニークな絵を描く女性画家が出展していました。
たしか1枚2万円で販売していたのですが、その後、彼女は有名な現代美術家となり、現在では1枚600万円で取引される作品もあります。
私に見る目がなかったのですが、そこで仮に1枚でも買っておけば、大きな含み益になっていました。ちなみに彼女の名前は、「ロッカクアヤコ」さんです。
お小遣いで買った宝物
レトロ玩具に宿る1000倍のロマン
このほか、「トレンド」の変化で価値が変わるものに、ブリキ製やソフトビニール(ソフビ)製などのレトロ玩具があります。
『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)という番組が、レトロ玩具を盛んにとり上げたこともあり、スポットライトがあたって一気に知名度が高まりました。
明治から昭和にかけてつくられたレトロ玩具は、コレクターズアイテムとなり、状態のよいものは数十万円から数百万円で取引されることもあります。
子どものお小遣いで買えたものが、1000倍以上の価値を生んでいるのです。
※本稿は、『賢明なる個人投資家への道』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。