写真:ミーティングをする上司と部下写真はイメージです Photo:PIXTA

「1on1ミーティング」をやっているものの、上司と部下の関係性は良くならないし、業績アップにもつながっていない――。こんな会社、多いのではないでしょうか?1on1ミーティングの弊害と、正しい面談スタイルとは?(ブレインマークス代表取締役 安東邦彦)

1on1ミーティングって何か意味あるの?

 近年、多くの企業で「1on1ミーティング」が導入されています。上司と部下が定期的に1対1で対話を行い、信頼関係を築きながら成長を支援する――そんなマネジメントの形が支持されています。

 この背景には、これまでのマネジメントスタイルの限界があります。かつてのように、上司が細かく指示を出し、部下がそれに従う「命令・服従型」の関係や、飲み会を通じた関係づくりといった“昭和型マネジメント”が、時代に合わなくなったのです。

 いま、企業に求められているのは、社員が自ら考え、意思と強みを軸に行動できる「自律型人材」を育てること。そして、これからの上司に求められるのは、「指示する人」ではなく、「育てる人」としての姿勢。信頼関係を土台に、個々の可能性を引き出し、伴走する力が必要です。

 若手社員の3年内離職率は3割程度と依然として高い傾向にあります。「上司に相談しづらい」「思っていた職場と違う」といった理由から離職するケースは、業務内容や待遇というよりも、「自分のことを誰も見ていない」「話を聞いてくれる人がいない」といった、信頼関係の断絶や孤独感が引き金になっているケースが往々にしてあるのです。

 こうした状況の中、1on1ミーティングは約10年前にヤフー社が先駆的に導入したことが報道され広まりました。その後、『シリコンバレー式 最強の育て方』などの書籍がヒットし、1on1への関心が一気に高まりました。

 しかし一方で、現場では次のような声も少なくありません。

「部下がかえって萎縮してしまった」「ただの面談が名前を変えただけだった」

 なぜ、期待通りの成果が得られないのでしょうか。その最大の理由は、いわゆる「なんちゃって1on1」のせいです。