入院期間は7~10日が目安になります。実は本記事の担当編集者も、突発性難聴の経験者。耳の異常やめまいに気付いて数日で病院に行き、約1週間入院してステロイド治療を受けています。ゴールデンタイム(2週間以内)に治療を始めた結果、聞こえなくなった耳は完治し、めまいもなくなりました。

「7~10日と聞くと、忙しいビジネスパーソンは『そんなに長く入院することはできない』と考える人も多いでしょう。でもよく考えてみてください。悪くなった耳を放置していたら難聴が進行し、商談や会議で相手が話していることが聞き取れなくなったり、大切な人との会話が困難になったりするかもしれません。『おかしいな』と感じたら一刻も早く病院を訪れてください。入院が必要と言われたら指示に従い、すぐに治すことがもっともコストパフォーマンスがよく、仕事にロスがないと思います」

医師に「ストレスが原因」と言われても、それだけで納得してはいけない

 私は3月初旬に「低音障害型感音難聴」と診断されましたが、原因ははっきりとはわかっていません。最初はメニエール病が疑われ、「めまいは?」「睡眠不足は?」と聞かれたものの、該当するものはなし。次に脳梗塞(こうそく)などを疑いMRI検査も行いましたが異常はない。最終的に「ストレスですね」と言われ、「はぁ……」と釈然としない気分になりました。

 このことを木村先生に話すと、少し呆れたような表情になりました。

「たしかにストレスは万病の元です。ストレスがあるとさまざまなサイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)が出て、粘膜が浮腫を起こしたりします。その結果、自律神経のバランスが崩れて代謝が落ちて血流が悪くなり、難聴になることがあります。でも私は医師として『ストレス』と『老化』は逃げの言葉だと考えています。だって誰もが大なり小なりのストレスは抱えているものだし、人は誰もが歳を取るのですから、そう言っておけば外れることがないんです」

 医師から「ストレスが原因」と言われたら、そうかと納得するのではなく、一体何がストレスとして自分に影響を及ぼしているのかを考えるとともに、他に原因があるのではないかと疑うことも必要。そして診断に納得がいかない場合は、面倒でも別の病院に行ってもう一度検査を受けることが大切だと木村先生は言います。