初動が遅く、「2週間」を過ぎるとどうなるのか

 私は難聴が発症した際の初動が遅く、症状を自覚してから数週間以上、違和感を感じながら過ごしていました。結果、病院に足を運んだときには治療のゴールデンタイム(2週間)はとっくに過ぎていました。

 検査の結果、「低音障害型感音難聴」と診断され、3種類の薬が処方されました。処方された薬を木村先生に見てもらうと、どれも難聴の患者に処方する定番の薬とのこと。

 しかし、処方された薬の一つである「イソソルビド内用液」というシロップが、普通では考えられないほどマズいのです……。「耳が良くなるのなら」と我慢して飲み続けましたが、3カ月以上飲み続けても改善の兆しが見えなかったので(むしろ悪化しているように感じたり、副作用でトイレが近くなったりすることもあった)、医師と相談して服用を中断した経緯があります。

「メチコバールやアデホスコーワといった薬は、耳の薬というわけではなく、広く神経を賦活(ふかつ、活動を盛んにすること)させることを目的に飲んでいただくものになります。乱暴な言い方になりますが、非常にざっくりした切り口で飲んでいただいているので、どうしても効きは甘くなります。ただ、これほど安全な薬はないんです」

 外傷と違い、難聴や耳鳴りは神経が原因。さらに症状や原因となっている部位もさまざまなので、ピンポイントで作用する薬を開発するのが難しいと言います。

 木村先生は、牛車腎気丸や八味地黄丸といった漢方薬も積極的に処方しているそう。ただし、漢方薬は自分の症状に合わせて、耳鼻科の医師に処方してもらうことが重要です。

「難聴や耳鳴りはホルモンバランスの崩れによって始まることもあります。あまり知られていないのですが、45~59歳の女性はプラセンタの注射が保険適用になります。こういう制度も上手に使いながら、自分に合った治療方法を探していただきたいですね」