その気持ちはとても理解できるので、いったんは症状に対する内服治療(眠れないのであれば睡眠薬、うつ症状が強いのであれば抗うつ薬など)でどこまで症状が緩和されるかの経過観察をします。
それに加えて、どうにか状況も少しでも改善できないか、今の状況を会社の産業医にもお伝えしませんか、と話します。ただし初診の段階では、本人は「周りには何も悟られたくない」との気持ちが強いために、なかなか職場での状況は変わりません。
しかし、薬でなんとか症状を抑えているとはいえ、厳しい状況は続いています。1~2週間に一度の受診では、徐々に体調が悪くなっていっていることがわかります。
この時に、「プロジェクトの終わりがわかっている」「忙しさがひと段落するタイミングがわかっている」とゴールが見えている状況であれば、耐えられることが多いです。
しかし、「いつこの忙しさが終わるかわからない」状況であれば、体調の悪化を食い止められるのはせいぜい2~3カ月です。そこからは無理をして頑張ってきた分、体調が一気に崩れる可能性が高いです。
そのため、仕事に集中できない、という症状が出てきた時に、その仕事の終わりが見えていないのであれば、せめて上司だけにでも相談しましょう。そして、一時的に業務をセーブするなど、状況の変化と体調改善を優先させるように動きましょう。