「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.なにか習慣をはじめたいと思うのに、つい休みたくなってしまいます。
毎日続けられる習慣をもちたいと思うのですが、どうしても途中でやめてしまったり、三日坊主になってなかなか続けられません。続けるコツはありますか?
“休まない人”の思考
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは本のデザインを年間180冊ほど担当しながら、日常生活においてもいくつかの習慣を続けています。
例えば、エックス(旧ツイッター)への読書メモ投稿、はてなブログへの映画感想更新、そして毎朝の空の写真撮影。この3つは旅行中でも欠かしません。
――じゃあ、完全に休む日はないんですね。
井上氏 時間がなさすぎる日や、物理的に難しい時は飛ばすこともありますが、基本は毎日続けます。うっかり忘れる以外は休みませんね。特に、空の写真は起きたら必ず撮ります。
――どうしてそこまで休まずに続けられるんですか……? 『とっぱらう』には、「1日休む」という戦術があり、計画的に休むことで持続力を高められると書いてあります。
好きなときに休みなんてとれないという人も多いと思うが、「無理しなくていい」と自分に許可を与えることはできる。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
「伸びる人」が習慣化に飽きない理由
井上氏 ぼくが毎日続けられるのは、続けていたことが一度でも途切れると、一気にどうでもよくなってしまいそうだからです(笑)。
習慣に対する強い思い入れはないんですが、一度でも休まない方が結果的に続くと思います。
習慣を続けていると、歯磨きと同じで、やらない方が気持ち悪いくらいになっていくんですよね。
――とはいえ、同じことを毎日やっていると飽きてしまうのでは……?
井上氏 もちろん、慣れてくるとルーティン化して“楽になる”瞬間が来ます。でもそこで、習慣を続けるためにあえて難易度を上げるようにしています。
例えばブログなら文字数を増やすなど、ゲーム感覚で負荷をかける。多分、自分でそうやって飽きない工夫をして、休まないように仕向けているんだと思いますね。
ぼくは自分でコツコツ続けられる人というのは、必ずしも意志が強いわけではなく、設計が上手な人だと考えています。
――なるほど、ということは「伸びる人」と「伸びない人」の差は、モチベーションの強さではなく、「続けたくなる仕組み」を自分で作っているかどうかなんですね。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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