美化して描くフジテレビの罪は重い

 ただ、実際に新宿・歌舞伎町という「現場」でこの問題に取り組んでいる玄さんからすれば、最後にこのような注意喚起を流したからといって、「ホストとの純愛」をあおることの免罪符にはならないという。

「改正風営法も確かに一定の効果はあったけど、どうしても限界がありますよ。悪質ホストの連中はどんどん法律の穴をついていくからです」

 例えば、フジテレビが注意喚起したような形で、あるホストが「客の恋愛感情などの好意につけ込む営業」をして、女性客に、高額なシャンパンを入れさせたり、大金を貢がせたりしたとしよう。

 しかし、そこで女性の家族が「改正風営法」を盾に、問題のホストから金を取り戻そうとしてもほぼ不可能だという。

「そういうことを言われた悪質ホストは逃げるどころか、逆に家まで乗り込んで行く。そして、“僕たちは真剣に付き合っています”とか“いずれは結婚も考えています”とかいけしゃあしゃあと言う。

 あくまで男女交際をしていて、女性の方が好きな彼氏に自主的に貢いでいるという形にするんですよ。これなら法律には引っかからない。

 店側にしても、店員が客と自由恋愛しているだけでその交際を応援しているという立場をとるので、何の責任を負わなくていい。あいつら、これくらいのことを平気でやりますからね」(玄さん)

 つまり、改正風営法で「客の恋愛感情などの好意につけ込む営業」が問題になったので、「真剣な恋愛」と言い張れば問題ないという「法の抜け穴」をついてきたのだ。

 そういう視点であらためて「愛の、がっこう。」を視聴してみると、やはりフジテレビの罪は重い。「ホストとの純愛」を美化してふれまわることで、「恋愛」という脱法テクニックへ移行していこうとする悪質ホストたちの「援護射撃」をしている形になっているからだ。

 では、「規制→抜け穴→規制→抜け穴」という“イタチごっこ”の悪質ホスト問題をどうしていくべきか。