
ホンダが本社移転
“原点の地”八重洲に
ホンダが2029年に東京駅前の東京・八重洲に本社を移転する。
ホンダの本社といえば、東京都港区青山一丁目駅のすぐ目の前にある「Honda青山ビル」のイメージが長らく定着してきた。しかし、1985年に自社ビルとして竣工・移転して以来、すでに約40年が経過し老朽化。建て替えのため今年5月で閉鎖し、東京・虎ノ門に本社機能を仮移転していた。
ちなみにこの青山ビルは、赤坂御用地に隣接しており、歴代の社長インタビューの際には高層階の役員応接室から緑深い赤坂御用地が一望できたことを思い出す。事実か定かではないが、ホンダが青山ビルを建設するのに当たり、本田技術研究所のある埼玉県・和光市や栃木と行き来するためにビル屋上にヘリコプターを発着できるよう計画したところ、宮内庁からの“ダメ出し”で断念したというエピソードを聞いた記憶もある。
さて、当初は2030年頃をめどに建て替えを完了して、青山本社を継続することにしていたが、建設資材の高騰などの外部環境の変化もあり、方針を見直した。
だが、実は八重洲はホンダにとって由緒のある地だ。創業地の静岡県浜松市から1952年に初めて東京に進出した際に、本社事務所を構えたのが八重洲の地だったのだ。さらに、60年には「ホンダ八重洲ビル」を建設しており、ここにはホンダ子会社や役員のOBサロンなども置かれていた。この八重洲ビルは、間口が狭く本当にこじんまりとしたもので、「ベンチャー時代のホンダ」を象徴しているようだった。