そして、吸収されたアミノ酸たちは、血液を通って、筋肉や肝臓など、身体のさまざまな部位に運ばれていく。そこで“タンパク質”に“再合成”されるのだ。

 筋肉の繊維(細胞)内部を再構成するために、アミノ酸がピースとして組み合わされ、タンパク質の鎖が紡(つむ)がれていく。これが“筋タンパク質合成(筋合成)”だ。

 このとき重要になるのが、「血中アミノ酸レベル」。これは、血液の中にどれだけアミノ酸が存在しているか、という数値。血中アミノ酸レベル、とくに必須アミノ酸のロイシンが高い状態にあるとき、筋合成スピードは加速する。

 もちろん、重要なのはロイシンだけでない。トレーニングやロイシンによって活性化された筋タンパク質合成に必要な材料、つまり、すべてのアミノ酸を供給するためにも血中アミノ酸レベルは重要なのである。

 逆に、アミノ酸レベルが低いと、身体は筋肉などを分解して必要なアミノ酸をまかなう方向に動いてしまう。“筋肉がデカくなる(アナボリズム、アナボる)”どころか、“削られてしまう(カタボリズム、カタボる)”ことすら起こりうるのだ。

 先にも見たように、筋合成速度はトレーニング直後から大幅に高まり、その後24時間(長くて48時間)は高い状態が続く。身体が「いまこそ筋肉を修復して強くするぞ!」という状態になっているのだ。

 したがって、このタイミングで筋肉への材料供給目的で血中アミノ酸レベルを高めておく必要があるわけだ。もちろん、アミノ酸のロイシンを供給することによって筋合成をさらに押し上げる意図もある。

 ようするに、トレーニング直後に急いでプロテインを流し込むのも悪くないけれど、そもそも「血中アミノ酸レベルのピークを、筋合成が最も活発になるタイミングに合わせる」という考え方が本質。

 食事のタイミング、内容、そして消化・吸収のスピードまでを計算してこそ、真に効率の良い筋肉づくりが可能になるのだ。

消化・吸収にかかる時間を逆算せよ

「タンパク質はすぐに筋肉にはならない」ということなら、実際、どのタイミングで食べれば血中アミノ酸レベルが高まるのか? そこが気になるところだろう。

 そこで、タンパク質を含む食材は、どれくらいの時間をかけて消化・吸収されるのかを見ていこう。