
朝ドラこと連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)でやなせたかしをモデルにした嵩を半年間演じてきた北村匠海さん。嵩と歩んだ日々を振り返ってもらった。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
「あれはある意味僕らの覚悟のシーンだった」――冒頭シーンに込めた決意
北村さんの取材会はクランクアップを翌日に控えた日に行われた。
ある記者から一足早く「おつかれさまでした」と労われると、北村さんは「皆さんお疲れ様でした。本当に素敵な記事をたくさん……」と詰めかけた記者たちに挨拶した。
半年前、2025年3月31日(月)からはじまった『あんぱん』。初回の冒頭は、50代前半の嵩とのぶが仲睦まじく暮らしている場面で、北村さんと今田美桜さんの老けメイクに注目が集まった。とりわけ北村さんが嵩のモデルであるやなせたかしに似せてきていると話題になった。
北村さんはそのときのことを思い返し、こう語る。
「柳川監督がおっしゃっていたのは、あれはある意味僕らの覚悟のシーンだったと。『あんぱん』というものをやり切るんだという覚悟を、『あんぱん』の制作チームをはじめとして、視聴者の皆さんにもまず見せたかったそうです」
柳川さんの思いに北村さんと今田さんは立派に応え、そこから半年駆け抜けてきた。第120回は初回冒頭のシーンが再び登場する。初回の使いまわしではなく再度演じた、そのときの心境は?