「なんでできないの?」「ちゃんとやれよ」――あなたも、こんな言葉をかけられて嫌な気持ちになった経験はありませんか? 頭が真っ白になり、やる気が一気に冷めてしまう。実はこれは偶然ではなく、脳が命令や否定の言葉に反応して“停止状態”になってしまうからです。やる気や自発性を奪い、人間関係まで悪化させる、最悪の「脳が止まる口ぐせ」なのです。
話題の書籍『奇跡が起きる 毎朝1分日記』の著者・三宅裕之氏は、「人を動かす人は命令や否定ではなく“質問”を使っている」と指摘します。

命令は反発を生み、質問は自発性を引き出す
私はコーチングや心理学を学び、数千人のクライアントを支援してきましたが、命令では人は長続きしません。例えば「なぜやらないんだ」と叱責すると、相手は防御的になり、やる気を失います。
ところが「どうすれば進められそう?」と質問すると、潜在意識が解決策を探し始めます。人は「答えを出そう」とする習性を持っているからです。
潜在意識に届く質問の威力
顕在意識で考えるのは氷山の一角にすぎません。行動を左右するのは90%以上を占める潜在意識です。ここに働きかけるのが「質問力」です。
「このプロジェクトでどんな成果を出したい?」と問いかければ、相手は成功した未来を思い描き、自然と行動が前向きになります。
これは脳科学的に「カラーバス効果」とも呼ばれ、質問がアンテナとなって必要な情報や行動を引き寄せるのです。
良い質問が関係性を変える
質問には人間関係を変える力もあります。例えば家庭で「なんで片づけないの?」と聞けば責められたと感じますが、「どうすればもっと快適になるかな?」と聞けば、協力的な空気が生まれます。
私のオンライン朝活の参加者も「部下が動かない」と悩んでいたところ、命令をやめて「どう思う?」と尋ねるスタイルに変えただけで、職場の雰囲気が大きく改善しました。
今日から使える「質問力」
では、日常でどんな質問を意識すればよいでしょうか。おすすめは3つです。
①未来を描かせる質問:「この先どうなっていたい?」
②可能性を広げる質問:「もし制限がないとしたら?」
③行動を促す質問:「今日一歩進めるとしたら、何をする?」
これらを使うと、相手の中に眠っていた答えが引き出され、自発的な行動が生まれます。
人を動かすのに必要なのは力でも権威でもなく、潜在意識に届く「質問力」です。命令の代わりに質問を投げかけるだけで、相手の心は動き出し、自ら行動し始めます。
人を動かすとは、実は相手の中にある答えを引き出すこと。今日からぜひ、質問を変えてみてください。