「あの人さえいなければ…」人間関係に疲れた心を軽くする、たった一つの習慣
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

人間関係における「楽しい記憶」と「嫌な記憶」
今日は「人間関係」についてお話ししたいと思います。
先日、愛犬の柴犬と散歩をしながら、ふとこれまでの人間関係を振り返りました。関わってきた人たちの中には、最初は良い思い出がたくさんあったのに、後になってひどいことをされたり、辛い思いをさせられたりした人もいます。
ある人との関係が悪化してしまうと、「最終的にその人がどうだったか」という最後の印象に強くとらわれてしまいがちです。その結果、その人と過ごした楽しかった時間まで、すべて忘れてしまおうとすることがあります。
楽しかった瞬間まで「黒歴史」にしていませんか?
関係がうまくいかなくなると、共に過ごした時間全体を「黒歴史」のように扱ってしまうことはないでしょうか。しかし、それは非常にもったいないことだと私は思います。なぜなら、たとえ結末がどうであれ、「楽しかった」という事実があったことは確かだからです。
後から「あの人はひどい人だった」「許せない」といった感情が湧いてくるかもしれません。ですが、たとえそうであったとしても、その人が一つでも楽しい思い出を作ってくれたのであれば、その事実だけで十分だと思うのです。
「その人」と「楽しかった思い出」を切り離して考える
ここで私が提案したいのは、「起きた出来事(思い出)」とその「相手の人間性」を切り離して考えるということです。
嫌な思い出としてすべてを捉えてしまうと、楽しかったはずの過去まで否定することになってしまいます。そうではなく、「あの時は楽しかったな」という事実だけを純粋に受け止めるのです。
そうやって振り返ってみると、たとえ今では疎遠になった人との間にも、楽しい時間は確かに存在したことに気づくはずです。その楽しい時間は、紛れもなく「その人」がいたからこそ生まれたものです。ですから、その事実に対して「ありがとう」と思い、その件はそれで完結させておくのです。
過去の自分を受け入れ、心を軽くする
通常、良い関係だった人との間に嫌なことがあると、「あんなに楽しかったのに」「あんなに信用していたのに」と、「~のに」という言葉がついてしまいます。しかし、この「~のに」をつけずに、「楽しかった時間はそれとして、今はもう関わりがないからそれで良い」と区切りをつけることで、心は軽くなります。
これは、自分の過去を大切にし、愛してあげるということです。この考え方を取り入れると、他人に対するわだかまりが少しずつ消えていくという効果も期待できます。まさに一石二鳥と言えるでしょう。
たとえ嫌な思い出が残る相手であっても、「一つでも良い思い出をくれてありがとう」という気持ちで捉え直すことで、自分の心の器が少し広がるのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。