「オルカン」「S&P500」だけで満足する人と「次の投資」に進む人の「決定的な違い」
東京大学大学院卒業後、ゴールドマン・サックスに入社。30代にして上位数パーセントの幹部、マネージング・ディレクターに就任し、アジアのトレーディングチームを率い、巨額の利益を上げた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトップトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法有望な個別株の見つけ方まで、すぐに役立つノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックスの元トップトレーダー】「オルカン」「S&P500」だけでは物足りない個人投資家へ…もっともシンプルで合理的な投資法を教えますPhoto: Adobe Stock

「王道」のその先へ、賢者の資産配分

手間いらずのオルカン(三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」)投資が、個人投資家の王道ではありますが、ここでオルカン投資の先を見ていくことにしましょう。

攻めと守りの黄金比「オルカン50%+現金50%」

オルカン投資というのは株式投資なので、すべての資金をつぎ込むのはリスクをともないます。他の資産クラスを交ぜてアセットアロケーション(資産配分)をする必要があります。

オルカンをベースとするおすすめの資産配分は、金融資産を「オルカン50%+日本円(現金)50%」で持つという基本形です。これが、もっともシンプルかつ合理的な方法になります。

世界経済の成長を信じるなら
オルカンだけでいい

あなたが世界経済の成長を信じるのであれば、その成長の恩恵を受けられるオルカンをこのように活用するだけで十分です。後の追加的な勉強は必要なく、これだけでよいのです。

ところが、他の投資に挑戦したくなる、つまりオルカンの先を見ようと思った途端、知っておくべきことは増えていきます。

プロに学ぶ、分散投資の「お手本」

お手本となる日本の年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の日本・外国の株式、債券に4等分(25%)ずつ分散投資する「4資産均等型」の投資法に倣って、より厳密に運用したいのであれば、丸ごと「4資産均等型の投資信託を買う」とか「オルカン、MMF(マネー・マーケット・ファンド)、外債(外国債券)投資などを組み合わせて、疑似的にGPIFポートフォリオを自分で組み立てて買う」といったこともできます。

この場合、オルカン以外の新たな投資信託やETF(上場投資信託)を取り入れれば、比較的簡単に実現できます

さらにリスクをとれるのであれば、株式の配分をお手本の50%ではなく、例えば80%にしてもいいかもしれません。

冒険の前に、己を知るための「2つの羅針盤」

このようなアレンジを加えるとき、次の2つの質問を自分に投げかけてみましょう。

自分への問いかけ❶ リスクの把握
年間でどれくらい収益(アップケース)や損失(ダウンケース)があり得るのか?
自分への問いかけ❷ 
ストレステスト
株価暴落が起きた場合、自分はどれくらい損失を抱える可能性があるのか?

オルカンは広大な投資世界の入り口にすぎない

ひと言で投資といっても、オルカンのような「グローバル分散・パッシブ投資」だけでなく、市場平均超えを目指すアクティブファンド投資個別株投資オルタナティブ(代替金融商品)投資事業投資などさまざまあります。

これらは扱う難易度も必要な知識も労力もさまざまで、手を出すならば勉強すべきことは多いです。ある意味で大変なのですが、社会人として、経営者として、消費者として投資から学べることは少なくありません。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。