考えすぎ”から解放された」「心が軽くなった」「今を大切にしたくなった
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。本書によって日本人が考えている以上に「考えすぎ」が恐ろしい事態を招くことがわかった。本連載では「考えすぎ」から解放される5つの習慣を紹介。今回はライターの照宮遼子氏に「ストレスを管理するコツ」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【職場のストレス】三流は「耐える」、二流は「諦める」、では一流は?Photo: Adobe Stock

「考えすぎ」から解放される5つの習慣

 とかく私は、仕事でもプライベートでも考えすぎてしまう傾向にある。

 本書では、下記の「5つの習慣」を紹介している。

 この習慣を身につけることで、「考えすぎ」や「思考の無限ループ」から解放されるかもしれない。

1 ストレスを管理する(第1の習慣)
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)

 今回は「第1の習慣」を一緒に考えてみたい。

「環境ストレス」の蓄積は危険!

 会社員時代、私は極寒地獄の席に座っていた。
 外は35度を超える猛暑日。汗をぬぐいながらオフィスに入った瞬間、そこは冷蔵庫のような世界だった。

 私の席はエアコンの吹き出し口の真下で、真夏でも一日中、冷風が直撃する。
 首はこわばり、指先はかじかむ。外との気温差で自律神経まで乱れそうだった。

 思い切って上司に席替えをお願いしてみたが、
「春に席替えしたばかりだから」
 と却下された。

 そして内勤の私は、外回りから戻る同僚に「涼しいほうがいいだろう」と遠慮していた部分があったかもしれない。

 結局、「どうせ何を言っても変わらない」と自分に言い聞かせ、それ以上行動を起こすのをやめてしまった。

 そして、ひざ掛けやカーディガンでしのぎながら、ただ夏が過ぎるのを待つしかなかった。

 こうした環境ストレスは、きっと誰にでも覚えがあるだろう。
 たとえば、隣の席の人の電話の声が大きく、会話の内容が頭に入り込んでくる。
 通路側で人通りが絶えず、視界の端で常に誰かが動いている。
 西日が差し込み、午後になるとモニターが反射してまぶしい。
 近くで印刷音が鳴りやまず、集中が切れる。

 一つひとつはちょっとした刺激でも、毎日繰り返されると、その環境ストレスは確実に蓄積されていく。

 そしてその多くは、自分の力ではどうにもできないことが多い。
 席替えや空調の設定は部署全体に関わるし、照明やレイアウトも全員の快適さを両立させるのは難しい。

 だから「我慢するしかない」と思い込んでしまうのだ。

ストレスマネジメントに効く
「4A」とは?

 けれど、こうした環境ストレスにも、自分で選べる対応策がある。

『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントンはこう述べている。

「4A」とは、「回避(Avoid)」「変更(Alter)」「受容(Accept)」「適応(Adapt)」のこと。ストレスに対処するには、この4つだけ覚えておけばいい。
――『STOP OVERTHINKING』(P.57)より

 私の極寒地獄も、考えてみればできることはあった。
 たとえば、もう一度課長にかけ合ってみたら変わったかもしれない。

 春の人事異動で席替えをしたばかりとはいえ、事情を丁寧に説明すれば理解してくれた可能性はある。

 また、設定温度を少し上げてもらえないかと、さりげなく相談することだってできたはずだ。

 当時の私は「きっと無理だろう」「迷惑がられるかもしれない」と勝手に思い込み、結局、何も行動しなかった。

知っているだけで
「選択肢」が増える

4A」は、状況を一瞬で理想に変えてくれる魔法ではない。
 けれど、知っているだけで「自分には選べる道がある」と思えるようになる。

「どうしようもない」と感じたとき、人は簡単に不安に飲み込まれるが、「他のやり方もある」とわかると、それだけで受け止め方はまったく変わってくる。

 その感覚が、不安やストレスに押し流されないための支えになるのだ。

 現在、フリーランスとして働く私は、カフェで作業するとき、エアコンの吹き出し口や出入口を避け、落ち着ける席を選ぶようになった。

 打合せも、混雑しない時間や快適な場所をこちらから提案できるようになった。

 こうした選択は、4Aの「回避」にあたり、不要なストレスを避けるための具体的な方法だ。

「どうすればより快適に過ごせるか?」と考える癖がつけば、ただ我慢するのではなく、ストレスそのものを小さくできるのだ。

小さな選択が
環境を少しずつ変えていく

「環境は与えられるもの」と思い込んでいる人は多い。
 けれど、実際には、変えられる余地は思っている以上にたくさんある。

 4Aは、暗闇に差し込む灯台ののように、立ち止まったときに進む方向をそっと示してくれる。

 この視点を持っていれば、「やるべきこと」と「やらなくていい我慢」の境目が少しずつ見えてくる。

 決して大きな行動を起こす必要はない。
 たとえば、昼休憩の時間を少しずらして混雑を避ける、オンライン会議の背景や照明を整えて気分よく話せるようにする――そんなちょっとした工夫からでも十分だ。

できる人のストレス解決策とは?

 もし今、あなたが職場や日常で「これはしんどい」と感じているなら、一度「4A」に当てはめてみてほしい。

 そして、いちばん大事なのは「自分はいま不安を感じているんだな」と気づくこと。
 気づければ、もう半分は解決している。

 そこからできることを選んでいけば、環境に振り回される毎日も、少しずつ自分のものに変わっていく。

 自分の心地よさを守る行動は、決して甘えではない。
 むしろ、毎日をちょっと快適にするためのアプローチだ。

 ほんの少し視点を変えるだけで、「耐えるしかない」から「心地よく過ごせる」に切り替わる。

 その積み重ねが、ストレスを和らげ、考えすぎに振り回されない日常をつくっていくのだ。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)