心がスッーと軽くなる…執着を手放す「ジンベイザメ」的な生き方
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人生は「ジンベイザメ」のように
本日のテーマは、「人生はジンベイザメのように生きる」ということです。
一体どういうことかと申しますと、ジンベイザメは体が大きいですが、人を襲ったり、魚を追いかけて食べたりするような、いわゆるハンターではないということです。
追い求めない、ジンベイザメの食事スタイル
ジンベイザメは幅広くてでっかい口をぽかんと開けて大量の海水を吸い込み、口の中にある「鰓耙(さいは)」というフィルターでプランクトンなどの餌をこし取って食べる「吸引濾過摂食」を行います。
特定の獲物をガツガツと追い求めるハンターとして生きるのではなく、ただ口を開けて進んでいき、自然と口の中に入り込んできたものを食べているのです。これは、ヒゲクジラなども同じようなスタイルですね。
このスタンスは、私たちの人生においても非常に良いあり方なのではないかと感じます。
執着しない生き方のすすめ
私たちも生きていくうえで、ジンベイザメのように口を開けて、あまり執着せずに泳いでいけば良いのではないでしょうか。
もちろん、「こんなことをしてみたい」「こうなったらいいな」「この人と仲良くなりたい」といった、ある程度の方向性を持つことは便利だと思います。そういった目標が見つかったら、その要素がありそうな場所、つまり群れのいそうな場所で、ゆったりと口を開けて泳いでみるのです。
「肉食魚」のような生き方のリスク
一方で、「どうしてもこれが食べたいぞ」と、特定の獲物だけを追いかける肉食魚のような生き方もあります。獲物が逃げれば、それを必死で追いかけていくスタイルです。
この生き方は、うまくとらえられれば良いですが、逃げられてしまったり、苦労して食べたのにあまり美味しくなかったりすると、がっかりしてしまいます。体力も消耗しますし、ストレスも増えるでしょう。
事実、絶滅の危機に瀕している動物には、怪我などでハントができなくなると餓死してしまう肉食獣や肉食魚が多いのではないでしょうか。
これは、私たち人間にも当てはまることかもしれません。「これを狙う」「これじゃなきゃダメだ」という執着は、無駄なエネルギーを使い、結果的にうまくいかないことも多いものです。もちろん、それを貫く潔い生き方もありますが、おすすめのスタンスとしては少し異なります。
口に入ったものが、あなたのご縁
ジンベイザメのように、ただ口を開けて進んで、たまたま口の中に入ってきたものが自分の得られたもの。このスタンスで生きていくと、とても楽になると思います。
口からこぼれ落ちてしまったものは、ご縁がなかったのだと考え、追いかけません。その代わり、自然と口の中に入ってきてくれたものがあれば、「美味しい」と感謝してそれを受け入れれば良いのです。
これこそが、人生においてとても大切なスタンスだと考えます。この生き方を、私なりに「ジンベイザメ・ポジション」と名付けたいと思います。
「ジンベイザメ・ポジション」でいこう
ただし、誤解してはいけないのは、「ただ口を開けてボーっとしていれば良い」というわけではない、ということです。それでは何も得られず、餓死してしまいます。
「だいたいこのあたりに群れがいそうだな」とか「こっちの方向へ進んでみようかな」といった、ある程度の意図や欲求を持って動くことは必要です。しかし、それ以上に一つのことに執着し、追い求めすぎないことが大切なのです。
おすすめの生き方は、やはりこの「ジンベイザメ・ポジション」であると、私は思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








