
日本に潜伏するスパイ。その活動の場所は、意外なことに人が集まる場所だという。それはなぜか?勝丸円覚氏の新刊『元公安捜査官が明かす諜報最前線 スパイは日本の「何を」狙っているのか』(青春出版社刊)から、水面下で活動するスパイの手口について抜粋して紹介します。
オリンピック、ワールドカップに便乗するスパイ
近年、オリンピックやワールドカップといった国際的なスポーツイベントや、外交使節団の来日に紛れてスパイが潜入するという事例が確認されています。これらの活動は決して新しいものではなく、昔から各国が行ってきた“常套手段”の一つです。
たとえば、オリンピックやワールドカップのように世界中から多くの選手団や関係者が集まる場では、選手そのものがスパイである可能性はそれほど高くありません。選手には登録や厳格な審査がありますから、スパイが直接出場するのは現実的ではないからです。
しかし、選手団に同行する「スタッフ」や「関係者」、あるいは「通訳」「広報担当」「医療スタッフ」といった選手以外の役職には、比較的入り込みやすい余地があります。こうした立場で派遣団に紛れ込んだスパイは、大会の裏側で情報収集や接触活動を行っているのです。