機内Wi-Fi最大の課題はコスト!
帯域幅は「鉛筆1本」の難しさ

 エアラインと機内Wi-Fiの最大の課題は、導入コストにある。例えばデルタ航空はヴィアサットと提携して無料Wi-Fiを提供しているが、開発予算はなんと10億ドル(1500億円弱)にも及ぶという。同社関係者は、「9100kmの上空を飛ぶ機内に、3万5400km離れた人工衛星から送られる信号の帯域幅は、わずか鉛筆1本ほど」と技術的な難しさを吐露している(WIRED.jp)。

 こうした多額のWi-Fi導入費用が、運賃高騰の原因になると指摘する専門家もいる。また、機内Wi-Fiが快適になれば、シートモニターによるエンタメは不要になるかもしれない。そうなると、パナソニックへの影響は避けられないだろう。

 あるいは技術革新が進み機内Wi-Fiが低コストになれば、機内エンタメを他社との差別化に使う手もある。例えば、JALの落語や漫才オーディオ「名人会」、ANAの機内誌「翼の王国」などは根強いファンがいる。

 機内Wi-FIの高速化・無料化と、機内エンタメは今後両立していくのか、注目したい。

【参考文献】
Prachi Patel “Is Starlink About to Replace Seatback Screens Forever?” , July 19, 2025

「至高のキャビンとサービス、極上のフライト体験|サブスク動画が見られるサービスも登場 最新の機内インターネット接続サービス」月刊エアライン2025年10月号 p42~43

「機内Wi-Fiがついに高速化へ。劇的変化の背景」WIRED.jp 2025年8月15日