
JALもANAも公的支援がなければ「国内線は実質、赤字」というショッキングな経営状況が浮き彫りになった。なぜ、このような事態に陥ったのか? JALでは国内線にも燃料サーチャージの導入を、ANAではビジネス系運賃の値上げなどが検討に挙がっているというが、ただでさえ物価高で苦しむ日本人の状況を考えると、値上げはそう簡単にはできないだろう。有効な対策はあるのだろうか?(ライター 前林広樹)
ショック!JALもANAも
「公的支援がなければ国内線は赤字」
「国内航空のあり方に関する有識者会議」(国土交通省、5月実施)にてJAL・ANAが提出した資料が物議を醸している。「2024年の国内線の売り上げは、着陸料などの空港使用料や航空燃料税の減免、燃料油激変緩和措置といった国・自治体からの支援がなければ、JAL・ANAとも実質赤字になる」といった内容が報告がされたのだ。
しかもANAの国内線に至っては「58%が赤字路線」という衝撃的な数値まで掲載されている。羽田〜札幌・大阪・福岡・那覇といった世界有数の乗客数を誇る路線でさえ、その利益はコロナ禍前に比べて低下傾向にあることも報告された。
これまで航空業界の常識では、「ドル箱路線」ともいわれる国内主要路線で、儲けの出にくい地方路線を支えてきた。また、国内線の安定した収益が、浮き沈みの激しい国際線をカバーしてきた。そうした常識が通用しなくなったことを浮き彫りにするJAL・ANAの報告は、衝撃的だ。なぜ、このような事態に陥ったのか。