
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は第125回(2025年9月19日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
のぶ……その撮影は邪魔じゃない?
「熱血ミュージカル『怪傑アンパンマン』」が始まった。
浜野謙太(浜辺ヒラメという芸人が演じている設定)が熱演。満員の客席では子どもたちが大喜びだ。
頭を食べさせて首から上がなくなってしまう様子は茶色い布をかぶって表現された。
爆撃音が響き、アンパンマンたちが客席に向かって語る。
アンパンマン「いま、世界中におなかのすいた人がいっぱいいる。やせ衰えて死んでいく子どもたちがいる」
ヤルセ・ナカス「いつもどこかで戦争をしている。なんにも知らない子どもたちがひもじさのために泣いている」
アンパンマン「さあ子どもたちよ食べてくれ。おなかいっぱい食べなさい」
これは70年代の当時のみならず、2025年、世界で戦争が繰り広げられているいまこそ、響く。このドラマを見ている、大人のみならず、子どもにもなにか染み入るものがあるといいなと思う。
ここで気になるのは、のぶ(今田美桜)。初日の本番、客席で撮影しているのは『あさイチ』の大吉でなくても気になる(第124回の朝ドラ受けで「のぶちゃん邪魔かな」と遠慮気味に言及していた)。
百歩譲って、舞台を記録撮影するのはあっても、見ている人にカメラを向けるのはいかがなものか。せめて目立たぬように黒い服を着用してほしかった。
ちなみに、舞台の記録写真もたいていゲネプロというほぼ本番に近い最終稽古で行われる。なかには、本番中も撮ることがあるが、ものすごく目立たないように撮る。映像を撮る場合は、事前に観客に記録撮影があることが周知される。
また、演出家にはカメラマンが視界をさえぎることを許さない人もいる。原案・脚本家の妻だから何も言えないのか。