メイコ舞台デビューと八木の先行投資

お金持ちの妻なのに他人に頼りがち?アンパン付きミュージカル公演の裏にあるお金【あんぱん第125回】

 いせたくや(大森元貴)プロデュース、手作り感覚の舞台とはいえ、ちょっとやばい。

 やばいといえば、メイコ(原菜乃華)も――。

 メイコがしれっとコーラスで出演していた。「たまるかー」と驚く羽多子(江口のりこ)に「いろいろあったがよ」と説明。夢がかなって良かったけど、コーラスの人が欠席していろいろあった過程は見せないのがいまどきだなあと思う。

 メイコが歌への未練を見せただけで、未来がなんとなく予測できたわけで、過程を見せずに、いきなり舞台でニコニコ歌っているほうが、おおお!とうれしくなる気はする。

 歌っている歌が、「ぼくの命が終わるとき違う命がまた生きる」といういい曲なので、感動もひとしおだ。

「ぼくの命が終わるとき違う命がまた生きる」の歌詞のときに和明(濱尾ノリタカ)の表情を映している。彼はこの歌詞をどう思っただろうか。

 のぶは撮影、メイコはコーラス、蘭子(河合優実)は受付……だけでなく、ヤムおんちゃん(阿部サダヲ)をお金で動かしていた。124回で「お礼はたっぷり弾みます」と言っていたが、八木(妻夫木聡)という大型スポンサーをバックにつけて、アンパンマンの顔つきアンパンを作って納入させたのだ。

 公演が終わったあと、ヤムおんちゃんがアンパンを届けに来た。「ガキガキガキ……」と口調は乱暴ながら楽しそうに子どもたちに配る。アンパン付き公演と聞いたら、今後、お客さんが増えるかもしれない。

 八木はアンパンマンの「やさしさ」はキューリオの理念と共通するから「化ける前の先行投資」だと平然としていた。なお、史実だとキューリオのモデルであるサンリオは、最初に『アンパンマン』を「詩とメルヘン」に連載したあと、『アンパンマン』ビジネスに関わっていないと認識する。

 ドラマで、キューリオが「アンパンマン」シリーズを出版したり、キャラグッズを出したりと、史実と大幅に違う世界線に行くなら別だが、そうでなければ、結局、化ける前の先行投資は無駄(言い方)に終わったことになる。

 サンリオの創業者・辻信太郎氏は『アンパンマン』ビジネスに興味を持たなかったのだろうか。気になる。

 75年からキティちゃんビジネスがはじまるので、それぞれ違う場所でがんばっていこうという感じだったのかも(勝手な想像です)。

 スポンサーに頼るよりも、のぶがお茶の稽古で稼いだお金でアンパンを作る経費を捻出するなどして、主人公として彼女に身銭を切ってほしかった気がする。

 なぜか、朝田家は他人に頼りがち。そういうちゃっかりした面も人間にはあっていいとは思うが、のぶはすでにお金持ちの妻(あるいは夫の稼ぎで悠々自適)なので、頼られる側に回っていただきたい。

 のぶは、すでに劇場を去った和明を追いかける。