事実、私の取材を手伝ってくれているチーをはじめ、国立大学や有名私大に進学したり大手企業に勤務したりする難民2世もすくなからず生まれている。

 ただ、当然ながら2世の全員が健全な進路を歩むとは限らない。むしろ親世代が亡命する以前の社会階層や教育水準、家庭教育への熱心さなどによって、社会の表舞台で身を立てていける層とそうでない層が、一般の日本人以上に顕著な二極化を見せやすい傾向すらある。

 この点も、やはり往年の在日中国人社会と似ている。日本ではかつて中国残留孤児2世たちが「怒羅権」という半グレ集団を形成し、本国からやってくる中国マフィアと結託して裏社会で覇を称えた。

 これと似たような構図が、一部のベトナム難民2世たちと、新たに日本にやってきたボドイたちとの間にも生じているのだ。

※多くの問題点が指摘されていた「外国人技能実習制度」は、2027年までに施行される「育成就労制度」に移行予定。その後3年間の移行期間を経て、2030年に廃止される予定。