ひと昔前まで在日中国人によって担われていたポジションが、ベトナム人に入れ替わりつつある現象に興味を覚えたからだ。
事実、近年のベトナム人は技能実習生数で中国人を抜いて1位になったほか、留学生数や外国人労働者の総数、来日外国人(永住者などを除く外国人)の犯罪摘発人数といった各数字でも中国人に迫る存在感を示している。
中国人の犯罪が激減したワケ
右肩上がりで続いた中国の経済発展によって、いまや中国人が日本の非熟練労働現場で働くことの金銭的なメリットは薄れた。ゆえに技能実習生になる中国人は激減している。
また、中国人は在日留学生数こそ増え続けているが、往年のように出稼ぎ目的で来日する留学生は大きく減った。夫が日本人で妻が中国人という国際結婚カップルの数も減少しているので、おそらく中国人女性が資産や在留資格を目的に日本人男性と結婚するケースも減っている。
外国人犯罪についても、来日中国人の刑法犯検挙件数は2006年に約1万件に及んでいたが、2018年には1795件と、12年間で約5分の1まで激減している(ちなみに同じ期間、来日ベトナム人の刑法犯検挙件数は1517件から約2倍の2993件に増えた)。
背景にはやはり、日中間の経済格差の縮小によって犯罪が割に合わなくなったという事情がある。近年は在日中国人マフィアが「日本で悪いことをするよりも儲かる」と、中国に帰ってカタギのビジネスをおこなう例も増えている。
いっぽう、替わって存在感を強めているのがベトナム人だ。技能実習生の逃亡、大量の偽装留学生、不法就労と不法滞在、増加する外国人犯罪……と、ひと昔前までは在日中国人問題の代名詞だったもろもろの問題は、いまやベトナム人が主役なのである。
借金を抱えたベトナム人が
組織犯罪を繰り返す
「日本で罪を犯すベトナム人の割合は、高額の学費を払うのが嫌でドロップアウトした留学生と、逃亡した技能実習生が五分五分ですね」