50代でも成長し続ける人は、いったいどんなことを習慣にしているのでしょうか?
新刊『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』(ロジャー・ニーボン著/御立英史訳、ダイヤモンド社)は、あらゆる分野で「一流」へと至るプロセスを体系的に描き出した一冊です。どんな分野であれ、とある9つのプロセスをたどることで、誰だって一流になれる――医者やパイロット、外科医など30名を超える一流への取材・調査を重ねて、その普遍的な過程を明らかにしています。今回、『EXPERT』の著者、ロジャー・ニーボン氏へのインタビューが叶いました。南アフリカで外科医として病院勤務を経験後、イギリスで総合診療医として活躍、現在はロンドンに本部を置く世界有数の理工系名門大学の一つであるインペリアル・カレッジ・ロンドンで外科教育の専門家としてエキスパートについて研究している彼に、成長し続ける人の特徴について聞いてみました。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

成長を止めない人の共通点とは?
Q:成長し続ける人(エキスパート)と成長が止まってしまう人の最も大きな習慣があれば教えていただけますか?
ロジャー・ニーボン氏(以下、ロジャー氏):そうですね、それは「改善を続ける姿勢」だと思います。エキスパートへの道は「始まりはあっても終わりはないもの」であり、常に自己啓発を続け、さらなる高みを目指す特徴があります。
一度エキスパートになったからといって、そこで終わりではありません。立ち止まらずに常に改善を追求し続ける姿勢が重要なのです。
好奇心と柔軟さが支える「改善の習慣」
Q:改善を続ける姿勢を支える要素には、どんなものがありますか?
ロジャー氏:第一に挙げたいのは「好奇心」です。「どうやったらもっとうまくいくのだろう?」という疑問を常に持ち、それを探求する意欲が不可欠です。さらに、新しいアイデアに開かれた気持ちを持つことも大切です。「もっと他に良い方法はないだろうか」「これまでのやり方を見直せないだろうか」と考える柔軟な姿勢が求められます。
学習の初期段階では既存のやり方を模倣し、基礎を身につけることに多くの時間を費やします。しかし、基本的なスキルを習得した後は、それを「どのようにしてより良くしていくのか」という問いに向き合うことが不可欠です。そこからがエキスパートへの道を深める本当の入り口なのです。
職人文化に学ぶ、終わりなき精進
ロジャー氏:私は日本の職人の方々に大きな尊敬の念を抱いています。彼らは何年もの歳月をかけてスキルを身につけた後も、それに満足することなく、日夜自身の技術改良に努めています。
さらに注目すべきは、自分だけの技術を高めるだけでなく、後進に教えることにも熱心である点です。常に好奇心を持って頭を動かし続け、さらなる高みを目指す――そこにエキスパートの真髄があると感じます。
「もっと良くできる」という感覚を持ち続ける
Q:好奇心が成長にとって大切なのですね。
ロジャー氏:そうですね、まさしくその通りです。どうやったらより良くなるのかを好奇心を持って進めていく。他者がどれほど素晴らしいと評価しようとも、自分自身の中には常に「もっと良くできる」という感覚があります。その感覚を追い続けることが、エキスパートをエキスパートたらしめる精神状態なのです。
終わりのない成長を支える「無意識の習慣」
50代になっても成長しつづける人は、特別な才能を持っているのではありません。彼らに共通するのは、「好奇心を失わず、柔軟に学び、小さな改善を重ね続ける習慣」です。
その習慣が、無意識のうちに積み重なり、年齢に関係なく新たな成長をもたらしているのです。
(本記事は、ロジャー・ニーボン著『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』のインタビュー記事です。)