「せっかく“いい会社”のはずなのに、毎日ぜんぜん楽しくない…」
あなたは今の職場で、「うまく言葉にならない“悩み”」を感じたことはないだろうか。「この会社で一生働くなんて無理…」「でも、他に“やりたいこと”もない…」「だから、しぶしぶ働いている…」そんな日々に「このままでいいのか?」と不安になったことも、一度ではないはず。
こんな“うまく言葉にできないモヤモヤ”を「見事に“言語化”してくれた!!」と話題なのが、新刊『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』だ。各所から共感が殺到している本書の内容に沿って、今回は「キャリアのモヤモヤ」の正体について解説する。

「やりたいことがわからない」と嘆く人が、今すぐやめるべきNG行動Photo: Adobe Stock

「くだらない偏愛」が、やがて唯一無二になる

 評価されようとしたわけではなかったものが、思いがけず誰かの目に留まることもある。

・毎朝ぬか床をかき混ぜるのが、妙に落ち着くという主婦
・お気に入りの鉛筆の硬度を語り出すと止まらない会社員

 そんな“地味な偏愛”も、手放さずに育てていけば、やがて誰かの役に立つ日がくることがある。
 むしろ、「誰の役にも立たないかもしれない」と思えるものにこそ、真の独自性が、ひっそりと存在している。

「変わっている」が唯一無二性になるとき

 たとえば――ある少年は、子どもの頃からある生き物に夢中だった。友達がゲームやスポーツに熱中する中、彼だけはひとり、図鑑を眺め、絵を描き、名前を覚えていた。

 周囲にはあまり理解されず、ときには笑われ、「ちょっと変わってる」と言われることもあった。

 それでも彼は、やめなかった。ただ、それが心から面白かったからだ。
 そうして長い時間をかけて積み重ねた知識と愛着は、いつの間にか「誰にも真似できない領域」になっていた。

 そして大人になったとき――その偏愛は、教育にも、研究にも、エンタメにもつながっていく。
 気づいた頃には、「その人にしかできない仕事」へと、形を変えていた。

圧倒的でなくても「丁寧」であれば強い

 もちろん、「偏愛していないといけない」というわけではない。
 圧倒的な「唯一無二性」なんて、必要ない。むしろ、地味で取るに足りないような興味でもかまわない。
 焦らず、自分の足元を見つめながら、意味のあることを、丁寧に積み重ねていけばいい。

・ノートに1行だけ、感想を書いてみる
・自分の偏愛を、友人に話してみる
・記録用に撮った写真に、なぜ惹かれたのか言葉にして添えてみる

 それもすべて、丁寧な蓄積の始まりだ。その地道な積み重ねこそが、やがてキャリアの道を照らし始める。

 今日から、「誰の役にも立たないから」という言葉を禁止しよう。
 誇れるほどではなくても、気づけば積み上がっている――それが、「映えない価値」の持つ力だ。

(本記事は『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』の一部を編集・加筆・調整した原稿です)