上司との1on1をするオフィスワーカー写真はイメージです Photo:PIXTA

「転職すれば人生が変わる」そんな希望を支えるはずの転職エージェントが、ときに求職者を不幸にしてしまうことがある。自身もエージェントとして働いた経験を持つ著者・佐野創太氏は、“人のキャリアを売ってしまう”現実を目の当たりにしたという。業界の内側に潜む“天使と悪魔の顔”、そして信頼できるエージェントを見抜くために知っておきたい仕組みに迫る。※本稿は、佐野創太『脱 会社辞めたいループ』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

転職エージェントこそが
「最高の職業」と陶酔していた

 転職エージェント最大手のリクルートエージェントには約143万3000名(2023年度実績)のサービス登録者が集まっています。今や「転職の普通の手段」です。ですから転職エージェントの実態を知ることは、転職後「も」うまくいくための武器のひとつです。

 この記事ではそんな転職エージェントの「素顔」と「ちょうどいい距離感」をお伝えします。

 まず最初に、恥を忍んで告白させてください。私は求職者の転職「だけ」を成功させ、「会社辞めたい」ループにはめた「悪魔のエージェント」でした。

 時間を私が新入社員だった2012年に戻します。担当していたIT企業C社の内定を得た営業職のDさん(男性・ 30代前半)に、なんとしても内定を受諾させたかった私はこう断言しました。

 C社は伸びますよ。会社と一緒に成長すれば「市場価値」が上がります。Dさん、勝負のときですよ。

「佐野さんがそこまで言うなら」とDさんは転職を決意してくれました(決意させてしまいました)。