「実は危ない市販の風邪薬」実名公開...咳止めシロップは乱用注意、最悪死に至ることも写真はイメージです Photo:PIXTA

風邪をひいたとき、気軽に市販の風邪薬を飲んではいないだろうか。実は5年間で1200件の副作用報告があり、そのうち15人が死亡している。ジャーナリストの笹井恵里子氏が薬の商品例と副作用、飲み合わせ、厚労省も警鐘を鳴らす依存性のある薬について、東京薬科大学客員教授と薬剤師に取材した。(ジャーナリスト 笹井恵里子)

「葛根湯」と「ルル」の併用はNG…
一緒に飲んではいけない薬

 薬は体の状態や目的に応じて使い分けることが大切だ。

 市販の解熱剤・鎮痛剤で主な成分である四つの特徴を次ページの表1にまとめた。「いつも使っているから」という理由や、「メーカーのブランド名」で選ぶのではなく、薬の外箱に記載される成分を確認する癖をつけ、成分に応じて薬を選択できるようにしたい。すると重複する成分にも気づくはずだ。

 たとえば比較的胃腸障害が少なくマイルドな効き目といわれる解熱鎮痛の成分「アセトアミノフェン」は、風邪薬にも含まれている場合がほとんど。国の規定では一日の摂取上限が900mg。「解熱剤・鎮痛剤」と「風邪薬」を摂取すればアセトアミノフェンが重複し、明らかな摂取オーバーになってしまう。そのほか、“熱を上げる”のをサポートする「葛根湯」と、“解熱”鎮痛剤成分を含む市販の「総合感冒薬」(たとえば「ルル」や「ベンザブロック」)の併用は、汗が過剰に出て問題となるため一緒に飲んだりしないこと。

 成分によって効き目の強弱や、持病による向き不向きもある。アセトアミノフェン(商品例「タイレノールA」)は高齢者や小児、インフルエンザの疑いがある場合でも服用できるのがメリットだが、効き目はマイルド。また肝機能疾患がある人や肥満、低栄養な人は薬剤師に要相談。

 ではアセトアミノフェンより効果が大きいアスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンの成分を含む解熱鎮痛剤はどうか。薬剤師の堀美智子氏(医薬情報研究所/エス・アイ・シー)は商品例を挙げつつ注意喚起をする。