なぜ「論理的に話す人」は嫌われるのか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

なぜ「論理的に話す人」は嫌われるのか?Photo: Adobe Stock

ロジカルシンキング信仰の限界

「論理的に考えること」はビジネスにおいて必須のスキルとして広く浸透しました。

 しかし、ロジカルシンキングを万能の解決策として信奉する姿勢は危険です
 複雑で不確実な現代社会では、論理だけでは対応できない課題が増えています。

 本記事では、ロジカルシンキングの限界を考えます。

論理は過去データに依存する

 ロジカルシンキングは、前提条件や既存のデータをもとに結論を導きます。

 そのため、過去と大きく異なる事態には対応が難しいという弱点があります

 前例のない変化が常態化する現代では、論理だけでは十分な解を出せない場面が増えているのです。

正しさより「納得感」が重視される

 ビジネスの現場では、必ずしも最も論理的な案が採用されるとは限りません
 むしろ、「論理的に話す人」は嫌われる傾向にありますよね。

 人間は感情や直感にも左右されるため、論理的に正しい提案が必ずしも受け入れられるとは限らないのです。

 ロジカルシンキングに固執すると、相手の共感や合意形成を軽視し、現実的な実行力を失ってしまいます。

論理を超える柔軟さが必要

 ロジカルシンキングを否定する必要はありません。

 しかし、それだけに依存するのは危ういのです
 直感、経験、創造力といった非論理的な要素を組み合わせることで、より実効性のある判断が可能になります。

 論理と非論理の両方を受け入れる柔軟さが、変化の時代には求められています

 ロジカルシンキングは重要な道具ですが、万能ではありません。
 限界を理解したうえで、直感や経験も取り入れることで、より現実的で持続可能な意思決定が可能になります。

 論理に固執せず、柔軟に学び続ける、これこそ「ゆるストイック」の姿勢です。
 私たちもまた、論理と柔軟さを両立させ、ゆるストイックに生きましょう

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86をスタートさせた。