料理研究家・管理栄養士の関口絢子さん料理研究家・管理栄養士の関口絢子さん Photo by Wataru Mukai

多忙な日々を過ごすビジネスパーソンにとって健康管理はどうしても後回しになりがちです。しかし、自覚症状がないまま進行し、ある日突然キャリアや生活を脅かす「3つの静かなリスク」があります。それらの予防が期待される成分を含む“すごい食材”とレシピを教えてくれるのは、YouTubeチャンネル登録者数64万人を誇る料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんです。(文/関口絢子)

体調不良を予防して、仕事と私生活の土台をつくる「食材・レシピ」をご紹介する連載「予防メシ」をフォローすると新着記事がメールで届きます。

キャリアを脅かす
3つの静かなリスク

1. サイレントキラー「高血圧」

 高血圧は、日本人の3人に1人が抱えていると言われる国民病です(※1)。その恐ろしさは、ほとんど自覚症状がないまま進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中の引き金になることから「サイレントキラー(静かなる暗殺者)」と呼ばれていることにあります。

 外食中心の食生活や不規則な生活、慢性的なストレスは、私たちの血圧をじわじわと上昇させます(※2)。血圧が高い状態が続くと、血管は常に強い圧力を受け続け、弾力性を失い、硬くなっていきます(※3)。これが動脈硬化です。血管が硬くなると、さらに血圧が上がり、悪循環に陥ります(※4)。

2. 高齢者だけの問題ではない「骨粗しょう症」

「骨粗しょう症は、高齢者がなる病気でしょ?」そう思っていませんか? 骨は常に古いものから新しいものへと作り替えられていますが、その骨量は20代でピークを迎え、その後は少しずつ減少していきます。特に閉経後の女性は骨量が急激に減少し、男性も加齢とともに徐々に骨がもろくなっていきます(※5)。早い段階からの栄養・運動習慣が、将来の行動力を守ります。

3. 誰にとっても他人事ではない「がん」

 がんは、日本人の死因第1位であり、多くの人が関心を寄せる健康課題です(※6、※7)。がん細胞は、私たちの体内で日々生まれています。しかし、健康な体では、免疫細胞がその芽をいち早く見つけて、攻撃し、排除してくれます(※8)。

 ところが、慢性的な過労や睡眠不足、不規則な食生活、ストレスなどは、この免疫システムの働きを弱めてしまいます(※9)。免疫力が低下すると、がん細胞の増殖を抑える力が弱まり、がんが発症するリスクが高まるのです(※10)。がんは決して他人事ではなく、日々の生活習慣と密接に関わっています。