日銀は10~11日、金融政策決定会合を開き、「量的・質的金融緩和」を継続することを決めた。決定の発表は11日11時48分。東京証券取引所の前場は11時30分まで後場は12時30分からで、その間は昼休み。通常後場に日銀の政策決定会合の発表が行われるが、今回は昼休みの間で公表となった。前場は決定会合を控えて様子見であったが、後場から一時決定会合の結果への失望売りがでた。

 後場の後に行われた黒田東彦総裁の記者会見でも、長期金利の上昇懸念にはゼロ回答とかで、円高加速という局面もあった。これらから、市場関係者は日銀に失望などと報道されている。アベノミクスはもう終わりとかいう意見もでている。日銀の金融政策をどのように考えたらいいのだろうか。

市場関係者たちの誤解

 まず市場関係者によくある話だが、自分の予想通りでないと失望という話だ。もちろんポジション・トークなので、正直といえば正直だ。

 そもそも日銀の金融政策は、株式市場、為替市場などの資産市場の価格に影響を与える目的でやっていない。一方、資産価格は金融政策の結果、マクロ経済変数の動きに左右される。このため、日銀にとって資産市場価格は見るだけであるが、資産市場関係者にとって日銀の一挙手一投足は目が離せない。

 いうなれば、資産市場関係者から日銀への片思いだ。しかも、資産市場関係者は山ほどいるので、すべての人の話は聞けないし、特定の者の話だけを聞いたら依怙贔屓(えいこひいき)になる。このため、日銀は資産市場価格のデータをちらっと見るだけだ。

 このチラ見を日銀では市場との対話とかいうこともある。資産市場関係者はこの言葉を牽強付会に解釈し、自分たちの思いが日銀に伝わると誤解している。資産市場関係者の思いは各人バラバラなので、日銀からみれば、方向感すら意味がないだろう。