「自分のやり方こそが唯一の正解」であり
「もっと教えてあげなくては」という心理

 それは、実は「面倒見が良すぎる」ということ。自分が兄貴または姉御となり、「仕事ができない人に教えてあげなきゃ」と使命感に駆られている節があります。

 彼らは、自分のやり方こそが唯一の正解だと信じているため、あなたが「はい」「わかりました」としか言わないと、「この人は何もわかっていないから、もっと強く言って教えてあげなければ」と感じてしまうのです。

 私の取引先でも、高圧的な上司からいつも怒られている人を見たことがあります。

「はい、わかりました」という返事が
受け身の人間であるという印象に

 彼は、いつも「はい、すぐやります!」と答えるのですが、上司は「あいつはわかっていない」と不満を募らせていました。「はい、わかりました」が、「私は言われたことだけをやる受け身の人間です」というメッセージを送ってしまっているのです。

 そんな態度に上司はイラついているのか、彼への指示を強くエスカレートさせていきます。やがてパワハラ寸前の言動に、他の部下も、上司から距離を取り始めます。上司は「プロジェクトを進めたいのに、部下が全然ついてきてくれない」と愚痴をこぼしていたそうです。コミュニケーションの難しさを実感した出来事でした。

 すべてにおいて「わかりました」と返事をするのは社会人としてとても素晴らしいことです。しかし、悲しいことに、それが無意識のうちに相手にロックオンされるきっかけを与えてしまっているのかもしれません。

 面倒な人からロックオンされないためには、普段からの立ち振る舞いが重要です。

明るすぎず、暗すぎない、
フラットな挨拶を徹底する

 まずは「フラットな挨拶(あいさつ)」でバリアーを張っておきましょう。面倒な人と仲良くなる必要はありません。日々の挨拶で相手との間に適度な距離を保ちましょう。

 相手に感情を読み取らせず、挨拶の返事も求めない、まるで独り言のような「フラットな挨拶」を徹底することが重要なのです。「おはようございます」「おつかれさまです」と、明るすぎず、暗すぎない、感情を乗せないトーンで挨拶しましょう。目を合わせすぎず、さっと通り過ぎることで、相手に会話のきっかけを与えないことも大切です。

 この挨拶で「あなたに敵意はありませんが、深く関わるつもりもありません」という無言のメッセージとなり、「ロックオンのきっかけ」を与えることを防ぎます。もちろん、関わりたくないからと言って、挨拶をしないのはご法度です。「あいつ、俺のことを無視したな」と、相手が目をつけるきっかけになってしまいます。