
職場で成果やアイデアを横取りする同僚や上司…。なぜ彼らは、悪びれもせずに他人の手柄を自分のものにできるのでしょうか?実は、その厚かましい態度の裏には、自身の能力不足からくる共通の心理が隠されています。彼らの残念な思考回路と、一流の人がそんな彼らをどう見ているのか。そのカラクリを解き明かせば、あなたのストレスも軽くなるかもしれません。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)
世界中に溢れる
他人の手柄を奪う人
「ご報告です。〇〇という施策で、こんなに成果が出ました!」
「(それ、俺が1年前からやってることなんだけどな。たぶん、パクったんだろうけど自分の手柄みたいにしてるな)」
このように他人のアイディアを何の断りもなく流用したり、他人の手柄をまるで自分の手柄であるかのように吹聴したりする人は周りにいませんか。あるいは、他人が考えた施策に後から割り込んできて「これ、担当は私です」と澄まし顔を決めている人……。このくらい例を出せば、みなさんも1人くらい顔が思い浮かぶ人がいるのではないでしょうか。
歴史を見ると、そういう事例はいくらでも見つけることができます。
たとえば、白熱電球。
おそらく大半の人はエジソンの発明だと思っているでしょうが、発明をしたのはジョセフ・スワンというイギリスの物理学者・化学者です。エジソンではありません。また、電気を普及させたのも弟子のニコラ・テスラで、エジソンではありません。
ビジネスの世界でも、学術の世界でも、他人の手柄を平気で奪う人はいくらでも見つけることができます。みなさんは自分の手柄であるのに、上司や同僚に奪われた、という経験がある人も少なくないでしょう。
非常に腹立たしく感じると思うのですが、そういう事例は本当によくあることですので「まぁ、しかたないか」と割り切って考えたほうがいいでしょう。いつまでも腹を立てていても、心臓がキリキリして寿命が短くなるばかりで、得るものは何もありませんからね。
ちなみに、他人の手柄を横取りし、「平気の平左」でいられるようなモンスター社員には、どのような特徴があるのでしょうか。その思考回路を分析してみたいと思います。反対に、手柄を取られた側に立ったとき、どのように対応するのが正解なのでしょうか。心理学の知見を用いて解説します。